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社説

診療報酬とかかりつけ医 24時間安心の地域医療を

 今春から適用される医療サービスの公定価格である診療報酬の改定内容が決まった。身近な「かかりつけ医」を機能強化し、入院中心から地域医療への転換を目指す内容だ。

     高齢化が進み、複数の持病がある患者は増えている。専門科が細分化された大病院では過剰診療や過剰投薬を生みやすく、医療費の膨張や患者の健康面での弊害も大きい。

     地域で1人の患者を総合的に診療できるかかりつけ医を増やし、介護サービスと連携して生活を支える医療へと転換しなければならない。

     日本は入院の病床が多いのが特徴だ。2006年改定では入院患者7人に常時看護師1人以上を配置する急性期用の「7対1病床」が新設された。高い報酬に設定されたこともあって急性期病床は急増した。

     その結果、低コストの慢性期病床や地域医療で対応できる患者も囲い込まれているとの批判がある。今回の改定では重症患者の入院している割合も加味し、実情に合った報酬に変える。病院経営が優先される現状を改め、入院から地域医療への流れを確実にしなければならない。

     患者が好きな病院で診療を受けられる「フリーアクセス」は日本の医療の特徴でもある。紹介状なしに大病院を受診した患者に5000円以上の追加負担を求める制度はあるが、十分に機能しているとは言えない。そのため今回の改定では追加負担の対象を広げる。

     ただ、フリーアクセスを抑制するためには、信頼できるかかりつけ医を増やすことの方が重要だ。開業医は多数いるが、かかりつけ医の成り手は足りない。さまざまな疾病を診療して患者の健康を継続的に診ることや、休日・夜間の往診を担うことも期待されているためだ。

     今回の改定では、かかりつけ医が複数の診療所と連携し、患者に24時間対応できる態勢を整えた場合の報酬を手厚くすることも盛り込まれた。介護事業所と連携して在宅や特別養護老人ホームなどで最期をみとる場合の報酬もアップする。

     超高齢社会に対応するには24時間安心できる地域医療の拡充が急務だ。大病院や専門医を頼りすぎる患者の意識改革もする必要がある。今回の診療報酬改定をその一歩にしなければならない。

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