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炎のなかへ

/78 アンディ・タケシの東京大空襲 石田衣良 望月ミネタロウ・画

三月八日(34)

 夕日が沈み暗くなった空き地で、ミヤとテツの全力の大相撲だった。組みあって力の限り押しあっているだけなのに、これほど見ていて力が入るのはなぜだろうか。

「残った、残った」

 タケシは考えた。平安時代の相撲(すまいの)節会(せちえ)から始まり、千年以上も相撲を応援してきた日本人の血が自分にも流れているのだ。ミヤが腰を落とし、頭をテツの胸に当て、ひたすら押し続けている。テツの身体(からだ)は二回りもおおきかったが、斜めに腰にくらいつかれて、足腰が伸び切ってしまっていた。この形ではいくら腕力があっても、存分に力がふるえないのだ。

 テツのズック靴のかかとが、ミヤに押されて下がっていった。つま先でかいた歪(ゆが)んだ土俵の線に迫っ…

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