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社説

読書感想文コンクール 本が引き出す「考える力」

 「私が今、幸せに生きていることが、私とつながる人の喜びになり、支えになっていることにも気付いた」

     秋田県の横手北中3年、伊藤紬(つむぎ)さんは「ホイッパーウィル川の伝説」(あすなろ書房)を読んで、家族や友人との絆の意味を改めて考えた。

     物語は、姉を亡くした妹の視点を中心に、家族の絆や愛情を描いた米国のファンタジーだ。

     登場人物と対話し、自らの心情を素直につづった「つながりの中で今を生きる」は、第63回青少年読書感想文全国コンクール(公益社団法人全国学校図書館協議会、毎日新聞社主催)の中学校の部で、内閣総理大臣賞に選ばれた。

     伊藤さんは、小学6年時と昨年に続き、3回目の同賞受賞だ。母親の読み聞かせを経て、小学1年から読書感想文を書き始めたという。

     「一冊を何度も読み、深く理解して書くと達成感がある」と話す。考える力は、言語力が基礎になる。それは本を読むことで養われる。表現力とともに読書感想文が育む力だ。

     今回のコンクールには、小中高校など2万5847校が参加し、430万編余りの応募があった。きょう東京で受賞者の表彰式が開かれる。

     家庭とともに、子供と本を結ぶ機会を増やす学校教員の役割は大きい。横手北中も始業前の読書活動のほか、生徒が読んだ本の魅力を自ら全校生徒に紹介する取り組みも始めており、子供たちに好評という。

     全校一斉の読書活動に取り組む学校は多い。文部科学省の調べでは、小学校で97%、中学でも89%が実施しており、始業前の「朝読書」はこのうち7割ほどにも上る。

     子供の読書を学習支援にもつなげる学校図書館の役割も重要だ。全国学校図書館協議会と毎日新聞社が協力してまとめた昨年の学校読書調査では、小学生では6割が学校図書館を利用しているが、中学では32%、高校では13%と減少している。

     年齢が上がるにつれて本から離れていく状況も浮かぶ。部活動や塾通いなど、校内外の生活の多忙化も影響していそうだが、残念な傾向だ。

     本や教科書で得た知識を基に、議論を重ねて学びを深める。そんな学習の拠点としても学校図書館の充実が必要だ。蔵書の見直しや学校司書のさらなる配置が求められる。

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