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炎のなかへ

/79 アンディ・タケシの東京大空襲 石田衣良 望月ミネタロウ・画

三月八日(35)

 タケシは地球から金星までの距離を知っていた。もっとも近いときで約四千万キロ。金星に当たった太陽の光が地球に到着するまでに早くとも二分はかかる。

 けれど、こうして街の空き地に腰をおろして見あげる宵の明星は物理的な条件を超え、格別な光を放ち、胸に迫ってくる。二光分の距離や太陽の反射光といった問題ではなかった。きっと誰といっしょにあの輝きを見るかが大切なのだ。

 夕焼けが終わり、青ガラスのように澄んだ西空に光を一粒、金平糖のように張りつけ、金星は輝いていた。光…

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