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タンカー事故、懸念の声 日本近海、原油拡大? 鹿児島・奄美漂着、環境省が緊急調査

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     東シナ海で1月6日にタンカーが貨物船と衝突、積み荷の原油が流出した事故で、鹿児島県の奄美大島一帯に油が漂着し、絶滅危惧種のアオウミガメ1頭が窒息死しているのが見つかった。インターネット上では「黒潮に乗って日本近海が汚染される」「漁業が全滅する」と不安も広がっている。

     中国当局によると、衝突は上海の東の沖合約300キロで発生。タンカーは軽質原油「コンデンセート」11万トンと重油1900トンを積み、衝突後に南東へ漂流。奄美大島の西約300キロの日本の排他的経済水域(EEZ)内で1月14日に大炎上し、沈没した。軽質原油10万トン超を積むタンカーの沈没は前例がない。

     英国の国立海洋研究所は拡散予測を公表。3月には関東沖に達すると呼びかけ、悲観論の根拠となっている。ただ同研究所は流出量が不明で正確な予測は難しいとする。予測には揮発しやすい軽質原油の性質を考慮する必要もある。

     中国当局は船や人工衛星で調査。沈没した海域一帯を監視し、1月末時点で、360カ所の水質検査で11カ所から基準値を超す油関連物を検出し、「環境に一定の影響がある」と見る。日本の海上保安本部は現場で船を走らせ、スクリューで軽質原油を揮発、拡散させる作戦を進めている。

     日本の海は大丈夫なのか。鹿児島大の宇野誠一准教授(環境汚染学)は軽質原油について「揮発しやすく水に溶け拡散しやすい上、重油に多く含まれる毒性の強い多環芳香族炭化水素の含有量が少ない」と話す。火災で多くが燃えた可能性も踏まえ、英研究所の拡散予測を「過大ではないか」と疑問視。「一時的、局所的な影響がないとは言い切れないが影響は小さいだろう」と冷静だ。

     ただし揮発しにくい重油はやっかいだ。

     1997年、日本海で沈没したロシアのタンカー「ナホトカ号」から重油約6000トンが流出した事故では、福井県などで海辺が油で真っ黒になった。

     今回の流出規模はそれより小さいが、油断はできない。重油とみられる漂着物は1月27日にトカラ列島で、2月1日以降は奄美大島や周辺の島々で確認。奄美大島の海岸には黒い漂着物が打ち寄せられ、表面を崩すと油のにおいがする。

     地元の漁師は「サンゴが死滅してプランクトンがいなくなり、漁獲に影響が出る可能性もある。モズクの養殖網も心配だが、それ以上に奄美の海で油が流れているという風評被害が怖い」と懸念する。すでに福岡県などからボランティアが来ており、鹿児島県は海岸に回収箱を置いて8日から本格的に回収を始めた。

     政府は首相官邸の危機管理センターに情報連絡室を置いて情報を収集している。国会の衆院予算委員会でも議論され、環境省は近く奄美一帯で緊急調査に乗り出す。【上海・林哲平、神田和明、阿部周一】

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