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社説

生活保護費の減額 母子家庭の困窮が深まる

 困窮者に支給される生活保護費が引き下げられる。

 食費や光熱費に充てられる「生活扶助」は国ベースで年160億円(約1・8%)削減される。ひとり親家庭を対象にした母子加算も平均2割カットされる。

 日本の子どもの貧困率は13・9%で、7人に1人が貧困だ。特にひとり親家庭の子の貧困率は高い。母子加算の削減で困窮状態はさらに悪化するだろう。

 生活保護の支給基準は5年ごとに見直される。第2次安倍政権の発足直後の前回は最大10%削減した。それに続くもので、今年10月から3年かけて段階的に引き下げていく。

 安倍政権は「全世代型社会保障」への転換を掲げている。最も困窮している家庭の子を追い詰めるような政策は看過できない。

 一方、政府が閣議決定した生活保護法などの改正案では、高齢の生活保護受給者向けの良質な住宅の整備などが盛り込まれた。貧困家庭の子の大学や専門学校への進学も後押しする。進学時に自宅生は10万円、1人暮らしは30万円の給付金を支給するという。貧困の連鎖の解消に向けた進学支援は大事だ。

 問題なのは、生活費に当たる「生活扶助」の削減である。

 その背景には、生活保護を受給している世帯の消費支出が比較的高いとされていることへの批判がある。母子世帯の受給者の就労率が低く、生活保護が就労意欲をそいでいるとの指摘もある。

 しかし、最近は一般世帯でも将来の生活不安から消費をギリギリに切り詰めて貯蓄に回す傾向がある。貯蓄すること自体が許されない生活保護受給者と単純に比較することはできないだろう。働きたくても病気や障害のために働けない人も多い。

 生活保護の抑制が求められるのは、生活保護費の総額が年々増えて3兆円を超えるまでになったことが挙げられる。

 ただ、受給世帯の半数は高齢層であり、就労が難しい人が増えているのが実情だ。就労による経済的自立を求めるだけでは困窮者が救われない現状を直視すべきだ。

 身寄りがない貧困の高齢者はこれから増えていく。早急に対策を講じなければならない。

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