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炎のなかへ

/80 アンディ・タケシの東京大空襲 石田衣良 望月ミネタロウ・画

三月八日(36)

 その夜、時田メリヤスの自宅兼工場に着いたのは、夕ご飯の三十分前だった。仕事を終えた編み機の間を抜けて、タケシがそっと脇の階段で二階にあがろうとすると、奥の続き間のガラス戸から顔を出し、従妹(いとこ)の登美子が声をかけてきた。

「どうしたの、タケシくん。国民服泥だらけじゃない」

 明るいところで見ると、自分の着ている服はひどいありさまだった。あちこちに空き地の砂や泥がつき、雑草とこすれた跡が刷毛(はけ)ではいたように緑色に残っている。

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