メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

炎のなかへ

/80 アンディ・タケシの東京大空襲 石田衣良 望月ミネタロウ・画

三月八日(36)

 その夜、時田メリヤスの自宅兼工場に着いたのは、夕ご飯の三十分前だった。仕事を終えた編み機の間を抜けて、タケシがそっと脇の階段で二階にあがろうとすると、奥の続き間のガラス戸から顔を出し、従妹(いとこ)の登美子が声をかけてきた。

「どうしたの、タケシくん。国民服泥だらけじゃない」

 明るいところで見ると、自分の着ている服はひどいありさまだった。あちこちに空き地の砂や泥がつき、雑草とこすれた跡が刷毛(はけ)ではいたように緑色に残っている。

この記事は有料記事です。

残り701文字(全文926文字)

毎日新聞のアカウント

話題の記事

アクセスランキング

毎時01分更新

  1. 札幌爆発事故 不動産のアパマンがおわび文
  2. 日産3社連合 不当干渉あればルノー株… 鍵握る基本協定
  3. スプレー缶「ガス抜きせず」廃棄呼びかけ 事業系に求められる「ガス抜き」
  4. 日産、ルノーがトップ会談か オランダで
  5. 札幌爆発 パニックの中、床抜け落ち助かる 間一髪の様子を客らが証言

編集部のオススメ記事

のマークについて

毎日新聞社は、東京2020大会のオフィシャルパートナーです