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余録

「天才」は英語でジーニアスだが…

 「天才」は英語でジーニアスだが、この言葉、もともとローマ神話の守り神を指した。その人が生まれてから死ぬまでついてまわり、運命を決める。この守り神の願いは当人が人生の喜びを満喫することだった▲なるほど他から抜きんでた才能は多くの場合、人生の守り神となろう。だが他人のうらやむ才が時に運命を狂わせることもあるのが人生のやっかいなところだ。天与の才を表すもう一つの英語、ギフトにはその辺の事情もうかがえる▲贈り物を意味するギフトは、同一の語源をもつドイツ語では「毒」を意味する。天から贈られた優れた才も人の世のめぐり合わせ次第でつらい重荷となることもある。とくに早くから世に現れ、人々の注目を集めた才によくある話だ▲「天才少女」と呼ばれて期待を集めながら、前回の五輪で挫折を経験した女性アスリート2人が平(ピョン)昌(チャン)五輪のメダルを胸にした。スピードスケート女子1500メートルの高木美帆(たかぎ・みほ)選手の銀、スキー・ジャンプ女子の高梨沙羅(たかなし・さら)選手の銅である▲中学生で五輪代表になりながら前回五輪で代表落ちした高木選手は世界トップ級選手に成長しての栄冠だ。かたや10代半ばから世界のトップに君臨しながら前回の五輪で苦杯をなめた高梨選手には強敵が現れた冬のメダル獲得だった▲天与の才に潜む毒を制し、持てる力を発揮した23歳と21歳の女性アスリートはみごとに「天才」を卒業してみせた。抜きんでた才を自らのものにしてこの世に根づかせた、その証しである二つのメダルだ。

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