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社説

トランプ政権の予算教書 世界に無責任な赤字拡大

 世界一の経済大国が野放図な財政運営で赤字を垂れ流すと、世界経済を混乱させかねない。

     トランプ米政権が2019会計年度(18年10月~19年9月)の予算教書を議会に提出した。財政赤字は19年度だけで1兆ドル(約108兆円)近くと現在の1・5倍に急増する。

     大型の企業減税で歳入が頭打ちになる一方、公共事業や国防費の大幅増額で歳出が膨らむ。「強い米国」を掲げる政権肝煎りの政策だ。

     今後10年間の赤字も総額で7兆ドル超にも上るという。しかも経済成長率は3%台とかなり楽観的に見積もっている。当てにしている税収が伸び悩めば、赤字はさらに増える。

     国債が大量発行されると、財政のの信用が低下して長期金利が上昇する。企業や家庭の借金の負担が増し景気を圧迫する。問題は米国の場合、悪影響が世界に及ぶことだ。

     日本も含めた最近の世界的株安の引き金は、米国の財政悪化も見越した米金利の上昇である。

     まず米国景気の先行きが懸念され、米株価が急落し各国に連鎖した。さらに米国債の信用がもっと下がり、金利が一段と上昇すると、超大国の経済全体への信頼が揺らぐ。

     米国債の信用度を示す格付けは11年に引き下げられたことがある。リーマン・ショックで巨額の借金を抱えたためだ。国際的に最も信用のある米国債の格下げは投資家を動揺させ、世界的な株安に発展した。

     19年度の財政赤字は、その当時以来の規模になる。超大国が財政規律の維持に努めるのは世界への責務のはずだが、「米国第一」を振りかざすトランプ政権は意に介さない。

     だが結局は米国にもマイナスだ。

     トランプ政権の大盤振る舞いは秋の中間選挙に向け景気対策をアピールする思惑がある。しかし金利が急上昇してしまえば元も子もない。

     そもそも米国経済は堅調だ。中央銀行である連邦準備制度理事会(FRB)は過熱を防ごうと徐々に利上げをしているほどだ。そうした状況なのに、財政で過度に刺激すると、利上げペースを早める必要に迫られ景気を急に冷やしかねない。

     金利上昇は財政悪化への市場の警告だ。今後は予算編成権を持つ議会が教書をたたき台に策定する。責任を自覚し健全化に努めてほしい。

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