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社説

コインチェックの顧客対応 担い手の自覚が足りない

 企業としての未熟さにあきれる。何者かの不正アクセスで、顧客の仮想通貨が大量に奪われた交換業者コインチェックの対応である。

     同社ホームページに掲載された和田晃一良社長のメッセージには、仮想通貨という新技術の提供により、「世界中をもっと豊かに、もっと幸せなものに変えていく」とある。

     現実との隔たりが何とも皮肉だ。

     盗まれた仮想通貨NEM(ネム)の顧客への補償は自己資金で行うというが、時期など具体的な見通しは示されないままだ。

     事件発生から約20日経過したというのに、記者陣に問われても「(顧客に払う)資金はある」(取締役)と答えるだけである。財務内容も明かしておらず、どこに資金があるのか、根拠は示さない。顧客にしてみれば、「返却を早く」「もっと説明を」と声を上げたいところだろう。

     同社は金融庁の命令を受け、13日に業務改善計画を同庁に提出した。仮想通貨が奪われた原因や再発防止策などを盛り込んだというが、それ以上のことは不明だ。

     確かに警察の捜査や監督官庁との関係で、現時点では公表できない情報もあるだろう。しかし、再発防止への考え方など、できる限り説明しようとする最低限の責任は果たしてもらいたい。

     何より、「日本で最大のビットコイン取引所」を自ら名乗る業界大手なのだ。日本円や米ドルのような法定通貨を扱っているわけではないが、顧客の多くは、そうした通貨や金融商品に準ずる投資対象として仮想通貨を売買していたはずである。

     仮想通貨のインフラを担う一員としての自覚がなさ過ぎる。

     それにしても、なぜこうした未熟な業者が、何百億円もの価値のある仮想通貨を交換する業務に携われたのか、と驚かずにはいられない。

     必要な、国への登録が審査中で、「みなし交換業者」の立場だったにもかかわらず、取り扱う仮想通貨の種類は、登録済み業者の中でも最多の所に次ぐ多さだった。

     金融庁は他の交換業者への立ち入り検査にも踏み切った。利用者が交換業者を選ぶにあたり、信頼性の比較がしやすくなるよう、国は事業者による情報開示や説明を徹底させる必要がある。

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