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社説

高校の新指導要領案 「探究する授業」の創造を

 議論を中心に思考力を育む。だが教える内容は減らさない。この難題に高校は取り組むことになる。

     文部科学省が、2022年度から実施する高校の新学習指導要領案を公表した。今回は9年ぶりで、55科目中、新設や見直しが27科目に上る大幅な改定となる。

     新指導要領案では「思考力・判断力・表現力」の育成を重視する。従来の知識偏重からの脱却が狙いだ。

     そのために全ての科目で「主体的・対話的で深い学び」(アクティブ・ラーニング)による授業改善を求めている。新設科目でも、それを象徴する「古典探究」や「日本史探究」などが設けられている。

     20年度から実施される「大学入学共通テスト」は思考力や表現力を重視する方向だ。今回の改定はそれも見据えた大きな改革といえる。

     昨年改定された小中学校の指導要領も同様の理念が掲げられている。小学校から大学まで、日本の学校教育を貫く大きな理念の転換である。

     気になるのは、学校がその理念を受け止め、知識を基に議論して学びを深める授業を作れるかどうかだ。

     新指導要領案は、総じて教える内容を削減していない。英語の単語数は最大で700語増えてもいる。

     アクティブ・ラーニングは、準備も授業も、手間と時間がかかる。知識を身につける時間も必要だ。

     教員が今の授業時間でこなすことができるのか。生徒が消化不良になるようでは意味がない。

     新設科目では、18世紀以降の日本と世界を関連付けて学ぶ「歴史総合」や、主権者教育に力を入れる「公共」などが必修で設けられる。

     これらは、現実の国際問題や政治的テーマを扱う。教え方に迷う教員もでてくるだろう。研修などで教員の力量を上げる努力が不可欠だ。

     さらに、授業の指針になる教科書など、教材も工夫が必要だ。アクティブ・ラーニングにおける生徒の評価も多様な視点が求められる。

     文科省は、指導要領の解説書を作り、授業を先取りする研究開発校での実践で理解を広めていくという。

     もっとも、その授業モデルの提示が、教員の裁量をしばるようでは逆効果だ。指導要領はあくまで標準であり、現場の創意工夫こそが生徒に響く授業につながる。

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