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社説

黒田氏続投の日銀人事案 代えられない政府の事情

 やはり再任しか手はなかったのだろう。安倍政権が黒田東彦日銀総裁を続投させる人事案を国会に提示した。同じく任期満了が近い2人の副総裁の後任候補には、日銀出身で総裁を支えてきた雨宮正佳理事と、早稲田大の若田部昌澄教授を選んだ。

     まさに現状維持の人事である。

     「2年程度で物価上昇率2%を達成」との目標は、5年近くが経過した今も実現にほど遠い。「デフレ脱却」を政権の最優先課題に据え、アベノミクスを推進してきた安倍晋三首相だったが、脱却宣言はまだだ。

     一方、劇薬のような緩和政策の弊害は深刻化するばかりである。

     それなのに、政権は「継続」を選んだ。他国では中央銀行総裁の再任は珍しくないが、日本では1964年まで務めた山際正道氏以来という。しかも、次の任期満了時に黒田氏は、78歳の高齢となる。

     しかし、代えるに代えられない。交代はリスクが大きすぎる。それが実情なのではないか。

     このところ米国発の株価急落が頻繁に起きているが、市場関係者が不安視しているのは、利上げの加速で長期金利の上昇に弾みがつき、景気の腰を折ることである。

     極端な金融緩和を進めると、元に戻す過程で、市場が動揺し、思うような政策運営ができなくなってしまう。特に先進国一のスケールで金融緩和を長期間続けている日銀の場合、正常化に向けたわずかな政策変更でも市場の混乱を招きかねない。

     安倍首相にとって、自民党総裁3選、そして宿願の憲法改正を果たすうえで、そうした混乱は何としても避けたいところだろう。

     借金依存の財政を続ける上でも、日銀が大量に国債を買う大規模緩和の継続は、ありがたい。副総裁候補の一人である若田部氏は、金融緩和の推進論者であると同時に、財政再建については、特段急ぐ必要はないという立場だ。消費増税に批判的で、むしろ積極的な財政テコ入れの必要性を唱えてきた。

     国会は政府の人事案提示を受けて、候補となった3人から所信聴取を行う。日銀が政権に好都合な財布と化すことは許されない。国会には、国民のための日銀にふさわしい人事かどうか、長期的な視点で精査してもらいたい。

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