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段ちゃんの「知っておきたい!中国のコト」

第13回 結婚に対する理想と現実……私の結婚観=段文凝

日本と中国、それぞれの結婚式の違い

 日本での生活が長い私ですが、実は結婚式にほとんど出席したことがありません。せっかく招待されても、テレビの収録や海外でのロケと重なってしまい、泣く泣く断念したことが何度もありました。けれど内心興味はあって、いつか日本の結婚式を見てみたいとずっと思っていました。それが去年、偶然にも実現しました。ある日本人の友人の結婚式に招かれたのです。

     出席してみてわかったことは、日本の結婚式のスタイルが中国のそれとはかなり違っていたということです。一番の違いは新郎新婦の役割です。中国では新郎新婦専用の席というものはないのが普通で、披露宴では主催者としてお客さんを二人でもてなし続けます。披露宴会場はレストランなどが多いのですが、新郎新婦はお客さんが座っている円卓を行ったり来たりして、お酒をそそいだりおしゃべりをしたり、片時も休む暇がありません。一方、日本の結婚式では新郎新婦は専用の席に静かに座り、ほとんど動きませんでした。

     また、中国の結婚式には、挙式と披露宴と2次会のほかに、挙式の前の“接新娘(ジエシンニャン)”や、披露宴後の“闹洞房(ナオドンファン)”という儀式が含まれます。“接新娘”とは、挙式の前に新郎が新婦を実家に迎えに行く儀式のことです。家の前には新婦の親戚や親友が待ち構えていて、新郎が家に入るのをこばみます。“红包(ホンバオ/お金を入れた紙袋)”を持ってきたかを確認したり、花嫁に関するクイズを出題したり、花嫁に聞こえるように大声でラブソングを歌わせたりします。見事それらの難関(?)を乗り越えると、ようやく花嫁に会うことができます。“闹洞房”とは、2次会と3次会が合わさったような行事で、徹夜で行われることもしばしばです。披露宴を終え、新郎と新婦が新居に帰ると、そこに親戚や親友が先回りしていて、二人を寝かせまいと邪魔をし、さまざまなゲームに誘います。ゲームの内容は、リンゴの皮を途中で切れないようにナイフでむいたり、新郎が花嫁を抱きかかえて部屋を一周したりするなど、たわいのないものが多いのですが、リンゴの皮むきのゲームにはいつまでも二人の愛情が続きますように、とか、花嫁を抱きかかえるゲームには、早く子宝を授かるようになどの意味合いがあり、新婚の二人を祝福する思いが込められています。いずれにしても中国の結婚式は、日本の結婚式に比べて体力勝負です。中国人女性との結婚を考えているあなた、ちょっと覚悟してくださいね(笑い)。

    結婚をめぐる厳しい現状 

     結婚式に出席したから、というわけではありませんが、その後、あらためて私なりに“結婚”について考えてみました。あなたは未婚なのに、と言われるのを覚悟の上で私の考えを言うと、結婚とは愛情だけでなくお互いの包容力や柔軟性、知恵といった、すべての能力が試される人間関係だと思っています。私よりもしっかりした女性なら、相手の経済力にも事前に細かくチェックを入れるでしょう。実際に中国では、女性が結婚の条件として、男性に“マンションなどの不動産を持っているか”や、“車を所有しているか”を聞くことがあります。また、結婚後もお互い仕事をし続けるのが一般的です。これまでの生活の質を下げないため、子供を産まないことを選んだり、子供ができても、子育てはお互いの両親に任せて、さらなる貯蓄や資産形成に励んだりするパターンもあります。

     更に厳しい現実もあります。厚生労働省が17年12月に発表したデータ*1によると、17年の日本の婚姻件数は60万7000組。一方、離婚件数は21万2000組でした。単純には言い切れませんが、この数字だけを見れば、日本人夫婦の3組に1組は離婚をしていることになります。中国の民政部が2017年に発表したデータ*2では、16年の結婚登記総数は1142万8000組、同年の離婚件数は415万8000組で、離婚の割合で見れば、日本とほぼ変わりません。また別の調査によれば、日本でも中国でも、離婚する年齢層で最も多いのが30代前半とのことでした。これは、私の肌感覚とも合っていて、実際に私の周りでも20代から30代で離婚している夫婦が少なからずいます。

    一番大切なのはやっぱり“愛情”だけれど……私の結婚観

     ここまで厳しい書き方をしてしまうと「じゃあ段さんは結婚には反対ですか?」と聞かれてしまいそうですが、全くそうではありません。私は、結婚において一番大切なのはやはり“愛情”だと思っていますし、愛情がなければ、結婚しても意味がないと思います。私の理想は少し子供っぽいかもしれませんが、結婚してからもお互いに全面的に信頼し合えるパートナーであると同時に、恋人でもあるような関係を続けていきたいと思っているのです。

     ただ、結婚ともなると、愛の力だけでは済まないことも分かります。最近ある日本人の友人から、結婚生活について相談を受けたことがありました。その友人は、結婚してお子さんもいるのですが、最近夫婦生活がうまくいっていないと話していました。聞けば、彼女は結婚当初から自分の本当の気持ちや喜怒哀楽をご主人にうまく伝えられず、常に我慢していたといいます。一方のご主人も、彼女の気持ちをあえて察したり、聞き出そうとしたりせず、そのままにしていました。その結果、ついに我慢の限界に達した彼女が、せきを切ったように自分の本心を話し始めましたが、もともとご主人にはそれほど不満がなかったため、彼女が突然わがままになったように感じ、冷戦状態のようになってしまったというのです。

     こうしたことは、お互いが“本当の自分の気持ち”に蓋(ふた)をして、目の前の居心地の良さを求めようと、妥協し続けてしまったことが原因ではないかと、私は感じました。もちろん、最後までお互いが譲り合い、“妥協”し続けられるのなら、それも一つの夫婦のあり方であり、ある意味では“賢い”のかもしれません。しかし彼女の場合は、本当の気持ちを相手に分かってほしいという強い気持ちをずっと持ち続けていたのに、自分からそれを言い出すことを避けていました。それは、自分のありのままの本心を相手に伝えることと引きかえに、相手の面倒な部分を自らも受け入れることを、無意識に拒否していたから、ともいえます。お互いがお互いの心の変化に、あまりにも無頓着すぎたのです。

     今の時代、すべてのことがとても速いスピードで変化しています。科学技術も、社会情勢も、常識や習慣も、自分たちの気持ちでさえも。では、そんな現実を踏まえたうえで、私の理想である恋人同士のような結婚生活を続けていくには、いったいどうすればいいのでしょうか。いろいろと考えた結果、私がたどり着いた結論はこうです。結婚後もお互いに変化し続けるのです。さまざまな変化を冷静に客観的にとらえて、その時々に応じて二人の関係を微調整していく。そういった“知恵”や“技術”や“柔軟性”が必要なのではないでしょうか。

     二人を取り巻く困難は、二人の気持ち以外にも無数にあるでしょう。それこそ、職を失ったり、病気になったり、子供の進路や将来のこともあるでしょう。しかし、たとえそうした困難に見舞われたとしても、「あの人と一緒なら大丈夫」と思える。そして自分も「あの人のために力を尽くそう」と頑張れる。相手に求めるだけでなく、私自身もそういう存在であり続けられるとしたら……私もいつか、まだ見ぬ誰かと一緒に、手を取り合って人生を歩めるのではないかと思っています。

    日本人の友人の結婚式でパシャリ!友人のウエディングドレス姿を見て、私もいつか着たいなぁって改めて感じました(笑い)

    *1 http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/suikei17/index.html (厚生労働省平成29年人口動態統計の年間推計)

    *2 http://www.mca.gov.cn/article/sj/tjgb/201708/20170800005382.shtml (2016年社会服务发展统计公报)

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