メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

余録

スケートを描く最古の絵は中世オランダのものというが…

 スケートを描く最古の絵は中世オランダのものというが、楽しい絵ではない。スケート靴をはいて倒れた女性が介抱されている図である。実はこの女性、骨折をきっかけとして一生寝たきりになってしまう▲女性の名はリドビナ。思い出した方もおられようが、以前小欄でふれたスケートの守護聖人である。その後の凄絶(せいぜつ)な病苦のなかで深めた信仰によって聖人に列せられたが、スケートをしたのはこの転倒の時が最初で最後だったという▲病者の守護聖人でもあるこの聖女は、はるばるオランダに単身修業にきた日本の女子選手をどう思ったか。彼女が病院に所属して患者を励ましていたのもご存じだったか。20代後半だった選手はその後一気に世界のトップに躍り出た▲そのオランダでフォーム矯(きょう)正(せい)に用いられた言葉から「怒った猫」と呼ばれた小平奈緒(こだいら・なお)選手である。平(ピョン)昌(チャン)五輪のスピードスケート女子500メートルを五輪新記録で制し、とうとう金メダルを手にした。31歳で極めた氷上の最速女王の高みだ▲「明日死ぬかのように生きよ。永遠に生きるかのように学べ」。このガンジーの言葉を胸に刻み、それまでの限界を突破したこの4年間である。ソチ五輪後のオランダ留学で学んだのは、自分の道を切り開いていく力への自信だった▲「みんなに『ありがとう』と伝えたい」。「金」の選択を支えた周囲、応援してくれた人々の「守護」に感謝した小平選手だ。スケートの聖女もオランダでそっと加えた後押しの見事な結果に満足していよう。

    おすすめ記事

    毎日新聞のアカウント

    話題の記事

    アクセスランキング

    毎時01分更新

    1. イチロー引退会見「死んでもいいという気持ちはこういうこと」一問一答(その4)
    2. イチロー引退会見「野球が楽しかったのは94年まで」一問一答(その3)
    3. イチローが第一線退く意向 球団に伝える 21日試合後に会見
    4. イチロー引退会見「野球への愛貫いた」一問一答(その2)
    5. イチロー引退会見「妻と一弓には感謝の思いしかない」一問一答(その5)

    編集部のオススメ記事

    のマークについて

    毎日新聞社は、東京2020大会のオフィシャルパートナーです