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社説

高齢者のトラブル解決 法テラスの役割は大きい

 高齢者が金銭トラブルなど紛争の当事者になるケースが増えている。

     問題解決のために、日本司法支援センターが先月、高齢や障害によって認知機能が衰えた人の自宅などに出向いて法律相談に応じる取り組みを始めた。センターは、相談者の心を照らす場との意味を込め、「法テラス」と名付けられている。

     トラブルの中身はさまざまだ。高額な商品を何セットも購入させられるなど悪質商法の被害は多い。

     財産の管理をめぐって親族ともめ事を抱える人もいる。不動産などの賃料収入や年金を勝手に使われてしまうといった相談がこれまでも法テラスに寄せられている。

     判断能力が明らかに欠けていたり、不十分であったりすれば、成年後見制度によって保護が図られる。だが、症状が進んでいない場合、放置されてしまうのが現実だ。法的な問題を抱えながら困っている人たちに手を差し伸べる意義は大きい。

     ただし、課題もある。支援は、地域包括支援センターや社会福祉協議会などの福祉機関などと連携して行われる。そうした機関の職員ら「支援者」からの通報を受け、初めて法テラスが動くという仕組みだ。

     だが、認知機能の衰えの程度が軽い高齢者の中には、福祉機関と接点がなく、1人暮らしをしている人も少なくないだろう。民生委員ら、より近くで高齢者を支える人たちは「支援者」として認められていない。将来的には、高齢者を支える人が幅広く利用できることが望ましい。

     法テラスは、2006年に政府の出資で設立された公的法人だ。全国100カ所以上に事務所があり、困窮者の無料法律相談などを手がける。行政や福祉機関と連携し、巡回相談などをする「司法ソーシャルワーク」の取り組みも進めてきた。

     高齢化が急速に進む社会で、司法と福祉をつなぐ接点としての役割が、今後ますます期待される。

     その責任を果たすためにも、広く法テラスの存在を知ってもらうことが必要だ。最新の調査では、法テラスについて「まったく知らない」という人が45%を占めた。

     今回の出張相談の取り組みも、当事者に制度が浸透しなければ、活発な利用は期待できない。周知のための啓発活動が欠かせない。

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