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社説

米国の鉄鋼輸入制限案 貿易戦争につながる危険

 米政府が鉄鋼などの輸入制限案を公表した。中国や日本など全相手国に高関税を課す案もあり、異例の強硬策だ。トランプ大統領は発動するかどうかを4月中旬までに決める。

     最大の標的は中国である。安い中国製鉄鋼が大量輸入され、米メーカーの経営が悪化した。トランプ政権は秋の中間選挙をにらみ、保護主義政策をより強めようとしている。

     根拠にしたのは安全保障上の脅威を理由に輸入制限を認める米通商拡大法だ。鉄鋼メーカーの弱体化が武器製造に悪影響を及ぼすという。

     極めて問題の多い内容だ。まず超大国が一方的な輸入制限に踏み切ると、貿易戦争に発展しかねない。

     世界貿易機関(WTO)は国際ルールに基づかない輸入制限を禁じている。各国が好き勝手に発動すれば、世界経済が混乱するからだ。

     WTOは安全保障を理由とした輸入制限を例外として認めてはいる。米国はこれを盾に取る構えだが、WTOが想定するのは差し迫った有事など限定的な事態である。

     米国が主張を押し通せば、各国が食料やエネルギー安全保障を名目に対抗することもありうる。中国や欧州連合(EU)は報復を示唆する。

     次に米国経済にも打撃が及ぶ。鉄鋼に高関税を課すと、自動車などさまざまな製品の価格が上昇し、消費者の負担が重くなってしまう。

     さらに、輸入制限の根拠とする安全保障の維持とも矛盾する。

     制限の対象を幅広くしたのは、中国製品が第三国経由で輸入されているとみているためだ。ただ、輸入相手には日本や韓国、ドイツなど同盟国も多い。日本は中国製と異なり、付加価値の高い製品を米国に輸出している。同盟国にも発動すれば、米国の安全保障にはマイナスだ。

     中国に絞ったとしても、北朝鮮情勢が緊迫する中、中国と対立を深めるのは得策ではないはずである。

     中国の政策に問題があるのは確かだ。非効率な国有企業を温存し、鉄鋼の過剰生産を続けてきた。日米欧は閣僚級会合を通じて是正を促してきたが、成果は十分出ていない。

     だからといって米国が国際ルールを軽視していいわけではない。中国が猛反発し、かえって解決を遅らせる恐れがある。日本や欧州は米国に自制を働きかけてほしい。

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