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社説

水産物禁輸でWTO勧告 日本は安心広げる努力を

 東京電力福島第1原発事故を理由に日本産水産物の輸入を禁じている韓国に対し、世界貿易機関(WTO)が是正を勧告した。「科学的根拠がない」との日本の主張を認めた。

     事故後に各国に広がった輸入規制を巡り、WTOが判断を示したのは初めてだ。裁判所にあたる中立的な国際機関の判断は重い。各国が規制を解除する契機になってほしい。

     韓国が禁輸の対象にしているのは、福島、宮城、岩手など8県産のすべての水産物である。各国の規制の中でとりわけ厳しく、日本は2015年にWTOに提訴していた。

     韓国の不安は理解できる。輸入食品の安全性に敏感になるのは、どの国も同じだ。日本も米国産牛肉の牛海綿状脳症(BSE)問題で厳格な検査を求め、米国と対立した。

     とはいえ、WTOは今回、「基準値以上の放射性物質は検出されていない」との日本の主張を事実として認めた。そのうえで国際ルールであるWTO協定に照らし、禁輸は「不当な差別」と判断した。

     韓国が、WTOとして最終決定する上級委員会への上訴を決めたのは残念だ。同様の判断が出た場合、対日関係を巡る政治的思惑に絡めることなく冷静に受け止めてほしい。

     日本政府も韓国国民の不安に配慮し、安全性を丁寧に説明して、理解を求めるべきだ。

     また、日本政府は、WTOの判断を根拠に、韓国以外にも規制解除に向けた働きかけを強める方針だ。

     規制を導入したのは一時54カ国・地域に上った。徐々に解除されたが、事故から7年近く経ても韓国とともに米国、中国、台湾など27カ国・地域が依然、規制している。各国もWTOの判断を尊重してほしい。

     東日本大震災の被災地は水産業が主力産業である。復興を後押しするには輸入規制の解除が欠かせない。

     もっとも各国の理解を得るため、政府が取り組むべき課題がある。

     一つは韓国が全面禁輸に踏み切る引き金となった汚染水対策を加速させることだ。タンクにため続けているだけで解決策が見えていない。

     もう一つは国内の風評被害への対応である。安全性が確認されているのに流通業者に敬遠される福島産の農水産物はまだ目立つ。日本が問題を抱えたままでは説得力を欠く。

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