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車で社会復帰

病院・施設のコースで支援

実車訓練のため自前の運転コースに向かう山崎清隆さん(右)と作業療法士の那須識徳さん=静岡県伊豆市の農協共済中伊豆リハビリテーションセンターで

 脳卒中のリハビリを終えた人への自動車運転再開支援で、敷地内に教習所並みの自前の運転コースを持ち、利用者の練習や評価に役立てる病院・福祉施設がある。利用者がコストをかけずに練習を重ね、運転能力を向上できる利点があり、1970年代から各地で活用されてきた。だが閉鎖する施設もあり、関係者から惜しむ声も出ている。

     ●入院しながら練習

     「やはり左の感覚がまだつかみにくいですね」。運転コースで左後輪を2回脱輪した山崎清隆さん(63)は苦笑する。山崎さんは昨年11月に脳卒中になり、静岡県伊豆市の農協共済中伊豆リハビリテーションセンターの病棟で治療し、回復。自宅は郊外で車がないと生活できないため退院前に運転再開支援を希望した。検査の結果は問題なく、敷地内の運転コースで練習することになった。

     左半身に軽いまひがあるため、ハンドルにノブを付け右手で旋回させて運転する。運転コースはS字カーブ、縦列駐車、信号もある本格的なものだ。運転はスムーズだが、急な左折には難渋する。30分の練習に同乗した作業療法士の那須識徳さんは「首を左方向に向けるのがまだ硬い。もっと左を見て」と助言。次は1時間の練習を指示した。山崎さんは「入院しながら練習できありがたい」と話す。

     ●保険で負担軽く

     同センターは自賠責共済資金などを利用して73年に活動を開始。交通事故被害者への支援の意味もあり、同年から運転再開支援活動にも取り組んでいる。現在、脳卒中後のリハビリにも広がり2016年度には120人の運転再開を支援した。障害者も運転できる改造車を2台持ち、教習所で研修して運転指導の知識を持つ作業療法士ら5人が実車訓練・評価を行う。

     練習は原則5回で、短期間に集中して行う。終了後、提携する自動車教習所の路上での実車評価を行って、県警運転免許センターの適性検査でお墨付きを得る仕組みだ。

     一般の病院では院外の教習所でしか車に乗れず、費用は利用者の自己負担だ。支援活動への医療保険適用も限られるため、短時間の一発勝負での実車評価になる。センターでの練習は保険適用の範囲内で患者負担は少ない。作業療法士の那須さんは「少しずつ練習すれば能力が上がる。回復が遅い人は退院後に外来でフォローする」と話す。

     ●茨城で閉鎖例も

     運転再開支援に詳しい藤田佳男・千葉県立保健医療大准教授によると国内には自前の運転コースを持つ施設は少なくとも7カ所ある。「医療と運転教育が一貫して行える。運転再開支援の本来あるべき姿だ」と指摘する。

     だが、運転コースを持つ茨城県立リハビリテーションセンターが3月末で閉鎖され、運転支援活動は県内の地域拠点に移る。これまで障害者手帳を持つ身障者に利用を限定。使いにくいうえ遠隔地で利用者が少なかった面がある。他の障害者支援施設では手帳がない脳卒中経験者に柔軟に運転再開支援を行う例があるのと対照的だ。県によると閉鎖後の運転コースの利用も未定だ。藤田准教授は「練習にも利用できるはずで、非常にもったいない」と指摘している。【斎藤義彦】

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