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社説

政府の気候変動適応法案 自治体の計画がカギ握る

 豪雨災害の頻発や農作物の品質低下など地球温暖化の影響と見られる被害が日本でも顕在化している。

     こうした被害への対応を強化する「気候変動適応法案」を政府が国会に提出した。国の責任を明確に位置付けた上で、自治体に対策を促す内容となっている。

     パリ協定の下で世界の温室効果ガスの排出削減が進んだとしても、温暖化はすぐには止まらない。法案を今国会で成立させ、具体的な適応策を実施する必要がある。

     法案は国に、治水や高温に強い農作物の開発など、温暖化の被害を抑える「気候変動適応計画」の策定を義務付けた。環境相がおおむね5年ごとに温暖化の影響を評価し、その結果を踏まえて計画を見直す。

     自治体に対しては、地域での適応計画の策定に努めるよう求めた。努力義務とはいえ、法案に自治体の責務が明記された意義は大きい。

     温暖化の影響は地域によって異なる。自然環境や産業構造、人口構成など地域の状況により、対策の重点をどこに置くかも変わる。自治体が先頭に立たないと、取り組みを効果的に進めることはできない。

     ただ、自治体独自の施策作りには限界がある。このため法案では、温暖化の影響に関する情報を収集、分析し自治体や企業に提供する拠点を国立環境研究所に置くことにした。

     他の研究機関と自治体との協力関係の構築や、隣接する自治体が共通する課題に連携して対処する体制整備が進めば、より効果は上がる。

     適応策の実施には、予算の裏付けが欠かせない。自治体に対する政府の配慮が求められるが、予算には限りがある。例えば治水対策で、堤防の建設などインフラ整備ばかりに頼ることは現実的でない。

     だからこそ、環境相が実施する温暖化の影響評価が重要となる。科学的な根拠を提示し、予算の配分に優先順位をつけていく必要がある。

     影響は農業や経済、環境など分野横断的なので、一概に優先順位をつけられないこともあるだろう。

     例えば、気象災害の影響を受けやすい地域はどこなのかを評価する。それを踏まえてどのように国土利用や地域づくりを進めるのか。そうした根本的な議論を積み重ねていく契機にしたい。

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