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社説

防衛研究所の対中報告書 緊張緩和へ日本も責任を

 防衛省の防衛研究所が中国の軍事動向を分析した2018年版の「中国安全保障レポート」を発表した。

     南シナ海での軍事拠点化を進め、サイバー攻撃が続く。尖閣諸島周辺の領海への侵入もやまない。中国の軍事動向は日本にとって関心事だ。

     今回で8回目の報告書は米中関係に焦点を当てたのが特徴だ。

     米国本土の特定基地を攻撃できる命中精度の高い新型大陸間弾道ミサイル(ICBM)を配備し、核戦力を強化していると分析した。

     これに対し、トランプ米政権は小型核をちらつかせて中国をけん制している。報告書は、米中関係が「岐路」にあると位置付けた。

     軍備拡張競争の気配が強まる米中関係には警戒が必要だろう。

     だが、報告書は同時に、中国が対米関係の安定化に向けてトランプ政権と対話を続けている点も強調している。

     実際に中国は「核心的利益」とする台湾問題などで米側と意思疎通を図り、政治問題化を回避してきた。

     米中関係は不安定だが、報告書は「中国は米中関係の協調と安定に自信を持っている」とも分析した。

     日本も米中関係の動向には無関係ではいられない。米国は唯一の同盟国であり、中国は最大の貿易国だ。

     米中の緊張緩和に、日本が果たせる役割は確かに限定的だ。しかし、アジアの安全保障環境の安定こそが日本の国益なのも事実である。

     そのためにも日中関係の改善は不可欠だ。尖閣諸島周辺での緊張をめぐって、まずは不測の事態が起きないよう日中間の海空連絡メカニズムの運用開始を急ぐことだ。

     今春には、12年の日本の尖閣国有化以降、途絶えていた日中防衛交流も再開する。日中韓首脳会談も7年ぶりに東京で開く予定だ。アジア安定への対話の好機だろう。

     対話を通じ、締結40年を迎える日中平和友好条約の精神だった「反覇権」を再確認するのも大事だ。

     日中間の対話を継続し、相互不信を解けば、信頼関係も醸成される。強固な日米関係が加われば、日米中関係の強化にもつながるはずだ。

     北朝鮮問題など日米中が連携して解決すべき課題は多い。米中の今が対決ではなく安定に向かう「岐路」となるよう、日本も尽力すべきだ。

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