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社説

福島第1原発の凍土遮水壁 費用に見合う対策なのか

 東京電力が、福島第1原発で土壌を凍らせ地下水の流入を防ぐ「凍土遮水壁」の効果を初めて試算した。汚染水の発生削減効果は1日約95トンで、効果は限定的だとみられる。

     政府と東電は、凍土壁を汚染水対策の切り札と位置付け、国費約345億円が投入された。凍結の維持にも毎年十数億円かかる。費用に見合った効果が出ているのか。政府には、しっかりと検証し、今後の汚染水対策に生かす責務がある。

     凍土壁は1~4号機の建屋の周囲(全長約1・5キロ)に約1500本の凍結管を地下30メートルまで打ち込み、冷却液を循環させて造る。2017年11月に凍結作業をほぼ終えた。

     東電の発表によれば、雨水や地下水に起因する汚染水の発生量は、凍結後の3カ月間平均で1日約110トンだった。凍結前の15年冬に比べると約380トン減少していた。

     東電は、地下水をくみ上げる井戸を設置したり、雨水の浸透を防ぐために敷地を舗装したりする対策も同時に実施している。380トン削減はこうした対策を合わせた結果で、凍土壁による削減効果は、あくまでもその一部に過ぎない。

     それでも東電は、凍土壁などの成果で「建屋に地下水を近づけない水位管理システムが構築された」という。認識が甘くはないか。

     今回、汚染水の発生量を比較したのは降水量が少ない冬場だ。台風の接近が相次いだ昨秋には、降雨で汚染水の発生量が急増した。より長期間の評価が欠かせない。

     建屋の東側にはケーブルや配管を通すトンネルがある。そこには凍結管が入っておらず、凍土壁で地下水を完全に遮断することはできない。

     現状では、汚染水の発生がいつ止まるのか、分からないままだ。

     汚染水は「多核種除去装置」で浄化するが、放射性物質の一種のトリチウムだけは除去できない。浄化後の処理水は原発敷地内のタンクに貯蔵されており、20年度までしかタンクの増設計画は示されていない。

     原子力規制委員会は、国の基準以下に薄めて海に放出する必要があるとの立場だが、漁業関係者などの間では風評被害への懸念が根強い。

     処理水をどう処分するのかのめどが立たない限り、汚染水対策はいつ行き詰まってもおかしくない。

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