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社説

メルケル大連立が継続へ 中道路線を立て直せるか

 ドイツの政治空白がようやく解消されることになった。国政第2会派で中道左派の社会民主党が党員投票の結果、与党として政権に残ることを受け入れた。

     昨年9月の総選挙後、最大会派の中道右派、キリスト教民主・社会同盟を率いるメルケル首相は約5カ月間、他党と連立協議を重ねたが曲折した。今回決裂すれば解散再選挙あるいは少数与党政権が濃厚となっただけに、ひとまず安心ではあろう。

     しかし、総選挙から連立協議の決着に至る過程でいくつかの問題があらわになった。新政権の船出には不安が付きまとっている。

     最大の問題は戦後ドイツを支えてきた中道大政党が弱体化し、そのぶん右派から左派まで多数の党に勢力が分散されたことだ。

     背景に中道政治が進めてきたグローバル化への順応や難民・移民受け入れに対する反発がある。新興右派政党「ドイツのための選択肢」が第3会派に躍進したのはその表れだ。

     社民党は当初、選挙の敗戦から立て直しを期し政権入りを拒絶した。メルケル氏は企業重視の党と環境重視の党という利害の異なる2党との連立を試みたが失敗した。

     このため社民党はシュタインマイヤー大統領の仲介を聞き入れ連立協議に臨んだ。だが独自の道を求める党青年部は反発し、シュルツ党首は辞任に追い込まれた。承認には党員約46万人の投票を必要とした。

     一方、メルケル氏は社民党に主要閣僚ポストを譲り過ぎたとして自党内から批判にさらされた。求心力は以前より低下し、世代交代を求める声も強まっている。

     双方は元のさやへ収まった形だが、前回4年余前の大連立発足時に比べ議席数は減り、内部に不満を抱える。政権基盤は安泰とは言えない。

     穏健な中道勢力の低迷と政党の多様化は今や欧州諸国に共通する傾向だ。多党化は今後も安定政権を築く上で悩みのタネとなるだろう。

     とはいえ第4次メルケル政権が担う役割は大きい。特にフランスと先導しなければならない欧州連合(EU)の統合深化は、英国の離脱後をにらみ待ったなしのはずだ。

     メルケル氏が中道路線を立て直し強い指導力を発揮しないことには、欧州が足踏みすることになる。

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