メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

社説

中国の全人代が開幕 デジタル独裁に進む隣国

 中国の全国人民代表大会(全人代)が開幕した。大幅な機構改革や人事、憲法改正で、2期目に入った習近平(しゅうきんぺい)国家主席への権力集中が進む。

     人工知能(AI)などのデジタル技術を活用した「新時代」の独裁体制という色彩が強まりそうだ。

     李克強(りこくきょう)首相は冒頭の政府活動報告で「習近平総書記の核心としての地位を断固として守る」と従来より強い表現で習氏への忠誠を誓った。

     憲法改正では「2期10年」の国家主席の任期上限が撤廃されて習氏の長期政権に道を開き、習氏の名前を冠した「新時代の中国の特色ある社会主義」思想が明記される。

     習氏を「人民の領袖(りょうしゅう)」と呼ぶなど毛沢東(もうたくとう)時代の個人崇拝を思わせるような宣伝工作も目立つ。ただ、単純な「先祖返り」ともいえない。

     李氏が報告で強調したのは「世界の新たな科学技術革命」を踏まえたイノベーション(技術革新)の推進だ。電子商取引、モバイル決済、シェアリングエコノミーなどの分野では「世界の潮流をリードした」と自信を見せた。さらに次世代AIの実用化を目標に掲げた。

     産業振興だけでなく、行政でもインターネットなどを応用したサービスの充実を図る。デジタル技術を国家運営の効率化につなげる「デジタル独裁」ともいうべき構想だ。

     成長鈍化で、6・5%前後に設定された今年の経済成長率目標の実現も容易ではない。技術革新を発展の新原動力にすると同時に「生活の質」の向上に結びつける狙いもある。

     政治的自由を制限しながら、経済的活力を生み続けることが可能か。今後、中国が直面する課題だ。国際社会は独裁色を強める中国が現行秩序と共存できるかにも懸念を持つ。

     今年の国防費の伸びは8・1%。経済成長率を上回り、日本の3・5倍に達する。AIなど技術革新が軍事技術に反映されることも確実だ。

     李氏は「平和的発展の道を歩む」と強調するが、今後の外交政策や国際社会での行動で偽りがないことを示す必要がある。「中華民族の偉大な復興」を名目に台湾や香港などへの圧力を強めるとすれば危険だ。

     欧米や日本とは異なる独自の道を歩み始めた隣国だ。その実像を見極めるためにも対話、交流を進めることが欠かせない。

    コメント

    投稿について

    読者の皆さんと議論を深める記事です。たくさんの自由で率直なご意見をお待ちしています。

    ※ 本コメント機能はFacebook Ireland Limitedによって提供されており、この機能によって生じた損害に対して毎日新聞社は一切の責任を負いません。また、投稿は利用規約に同意したものとみなします。

    利用規約

    毎日新聞のアカウント

    話題の記事

    アクセスランキング

    毎時01分更新

    1. 支局長からの手紙 お世話になりました /愛媛
    2. ORICON NEWS 是枝裕和監督、樹木希林さんの思い出ある映画祭で涙のスピーチ
    3. 風知草 圧勝ですが、何か?=山田孝男
    4. 会津藩公行列 「ありがとなし…」綾瀬はるかさん手を振り
    5. あの人に会った 関西ジャニーズJr. 西畑大吾さん

    編集部のオススメ記事

    のマークについて

    毎日新聞社は、東京2020大会のオフィシャルパートナーです