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紙面審ダイジェスト

調査データ疑義 詳しい発覚経緯を

 紙面審査委員会は、編集編成局から独立した組織で、ベテラン記者5人で構成しています。読者の視点に立ち、ニュースの価値判断の妥当性や記事の正確性、分かりやすさ、見出し、レイアウト、写真の適否、文章表現や用字用語の正確性などを審査します。審査対象は、基本的に東京で発行された最終版を基にしています。指摘する内容は毎週「紙面審査週報」にまとめて社員に公開し、毎週金曜日午後、紙面製作に関わる編集編成局の全部長が集まり約1時間、指摘の内容について議論します。ご紹介するのは、その議論の一部です。

     以下に出てくる「幹事」は、部長会でその週の指摘を担当する紙面審査委員会のメンバーです。「司会」は編集編成局次長です。

    <2月23日>

    ■調査データ疑義 詳しい発覚経緯を

     幹事 今国会最大の焦点と政府が位置づける働き方改革関連法案で、裁量労働制に関して安倍晋三首相が衆院予算委員会で行った答弁を撤回した2月14日以降、与野党の対決構図が鮮明になってきた。問題となった「裁量労働制の方が一般の労働時間より短いという厚生労働省の調査データもある」との1月29日の安倍首相の答弁について野党が追及姿勢を強めていることを、本紙は14日朝刊2面<裁量労働制/厚労省調査に疑義/首相答弁 野党、追及強める>で報じた。首相が自民党議員の質問に対して異例の答弁撤回をしたのが同日午前の予算委だ。同夕刊1面で<首相が答弁撤回/裁量労働 根拠データに不備/衆院予算委>と書き、今国会前半の最大焦点に浮上した問題をタイミング良くとらえた。厚生労働省は19日に一般労働と裁量労働制の比較の前提となる質問内容が異なっていたことを明らかにし陳謝した。それを受けた20日朝刊は1面、3面クローズアップ(CU)、5面で展開した。

     それにしても不思議に思うのは、3年も前から国会で同じデータをもとに繰り返し厚労相が国会で答弁してきたにもかかわらず、ここに来て問題が発覚した経緯だ。本紙は20日朝刊のCU<「捏造」野党は追及/裁量労働制データ/厚労省「意図的でない」>に、「厚労省がデータの問題点に気づいたのは、野党議員から数字の問い合わせを受けて精査した2月1日」と出てくるが、これ以上の詳しい記述は見当たらない。他紙にもその部分の記述はほとんどなく、読売の21日朝刊2面<厚労省へ指示 首相否定>、日経の同4面<裁量労働 再調査せず>が、20日の予算委で2月1日に厚労省職員が認識したことを書いているぐらいだ。仮に野党の追及がきっかけであるなら、たなざらしになっていたデータを、どの政党の誰がどういうきっかけで疑問に思い、指摘するにいたったのか。日々の出来事を追いかけるのに大変だと想像するが、この問題の「深層」に迫る詳細な記事も読んでみたいと思った。

     司会 労働担当の社会部。

     社会部長 今になってこんなことが出てきたことについては、読者が疑問に思うところであり、もう少し書き込んでも良かったかなと思っている。経緯を説明すると、1月29日に安倍首相が答弁して、それを受けて、希望の党の山井和則議員が正確性を確かめるために、厚生労働省に対して資料の提供を求めた。それでもう1回厚労省が調べたところ2月1日になってデータがおかしいことに気付いた。この部分は書けたと思っているが、ではなぜ3年間気付かなかったのか。だれも指摘する人がいなかったことに尽きるとは思うが。

     司会 政治部はどうか。

     政治部長 立憲民主の長妻昭議員の追及で明らかになったと認識している。長妻氏のブレーンの学者が発見したと言われている。長妻氏は厚労相をやっているし、細かいデータを読むのがとても得意な人だ。長妻氏やブレーンの努力で発見したということなのかと推測はできるが、それ以上の詳しいことは分かっていない。いずれにしても関心事なので、社会部と協力してやっていきたい。

    ■元特捜部長の事故 呼称は

     幹事 東京都港区の都道で18日朝、元東京地検特捜部長の石川達紘弁護士(78)の運転する車がガードパイプをなぎ倒したうえに、歩行者をはねて死亡させる事故があった。アクセルとブレーキを間違えたのが原因のようだ。事故を報じる19日朝刊第2社会面の記事は、石川弁護士について、「石川達紘さん」と書いていた。他紙はすべて「石川達紘弁護士」である。記事は、警視庁が自動車運転処罰法違反(過失致死)容疑で調べている、とも書いている。石川弁護士は拘束されていないものの捜査対象者である。敬称ではなく肩書呼称が適切だったのではないか。

     司会 社会部。

     社会部長 弁護士とすべきだった。毎日新聞用語集では、任意で取り調べを受けている容疑者については、原則肩書呼称か敬称を付けることになっているが、事故の態様や著名人であること、しかも弁護士という肩書もあるので、「さん」ではなく、「弁護士」とすべきだった。愛読者センターには、「なぜ『さん』なのか、かばっているのでは」との指摘も届いている。同じようなことがないよう注意していきたい。

     司会 一般の人、例えば「会社員の山田太郎さん」が同じような事故を起こしたら「さん」ではないのか。「さん」づけでもそんなに違和感はなかったが。校閲はどうか。

     情報編成総センター編集部長(校閲) この場合は、弁護士でいいと思う。確かに一般の人で逮捕されていない段階では、肩書を付けづらいケースは多々あると思うが。

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