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段ちゃんの「知っておきたい!中国のコト」

第14回 パンダのしっぽは黒? それとも白?

まるで“アイドル”!?知らなかった日本でのパンダ人気

 上野動物園のパンダのシャンシャン(香香)ちゃん。生まれたての時は全身ピンク色でしたが、今は白と黒の模様もはっきりとしてきました。上野動物園では去年の12月からシャンシャンの公開と、ライブ映像のネット配信を始めました。公開といっても、抽選に当たった人だけ。テレビでは、見事25万件の応募の中から当選を果たした人が、泣きながら喜ぶ姿が映し出されていました。先月(2月)からは先着順に公開方法が変わり、初日には6000人超の観覧希望者が押し掛けたそうです。前日の夜から開園を待つ人の列ができていたそうで、私は改めて日本でのパンダの“アイドル”のような人気ぶりに驚かされました。パンダがここまで日本の皆さんに愛されているということは、日本に来て初めて知りました。

     まだ私が中国にいるころ、地元・天津の動物園にもパンダがいました。動物好きの私は、よく両親に連れていってもらいましたが、パンダは他のかわいい動物たちと同様にのんびりとそこにいて、特に人だかりができることもなく、ササを食べたり寝転がったりする様子を、好きなだけ眺めることができました。確かにパンダは中国の“国宝”ではありますが、私の感覚からすると、決して遠くにいる存在ではなく身近にいていつでも会える動物だったのです。

    私もパンダが大好きです! 中国では気軽に会える動物でした。

    身近なほどわからない? 日本と中国それぞれの視点からのイメージ

     日本の方にとってのパンダのイメージは、“アイドル”以外に、もう一つあるようです。それに気が付いたきっかけは、私自身の経験。こんなあいさつをされることが多かったからです。「段さんは中国から来たんですよね。私、パンダ大好きです!」。以前は、このような時(なんで急にパンダの話をされたのかなあ……)と内心不思議に思っていました。しかし、複数の友人から「日本人にとってパンダは中国の定番のイメージの一つなんだよ」と教えてもらい、そうかと納得しました。このほかにも“カンフー”、“麻婆(マーボー)豆腐”、“チャイナドレス”、“卓球”などが、日本の方にとって定番な中国のイメージだと教わりました。中国人の私にとっては、これらのものは定番というよりも、数ある中国のイメージの中のごく一部という感覚です。本音を言えば、羊肉のしゃぶしゃぶ“涮羊肉(シュアンヤンロウ)”や、“スマホでのキャッシュレス決済”のほうが、いかにも中国的だと思うのですが……。

     私が中国人として、日本の方と違ったイメージを持っている“中国のもの”を、パンダ以外にも例を挙げましょう。例えば“中国語”。私にとって中国語は母語であり、物心ついたころには当たり前に話せていました。ですから、中国語は、私にとって“できて当たり前の言葉”です。日本に来て中国語を教える立場になった時「日本語でも“漢字”を使うのだから、日本の方が中国語を覚えるのは簡単にちがいない」と思っていました。しかし、私の予想に反して、日本の方にとっては中国語の“発音”が相当難しいようでした。中国語に出てくるLとRの区別や、有気音やそり舌音の発音などは、ある程度訓練を積まないと、聞き取りや発音が難しいのです。日本語にはない発音だからです。私にとっては身近で易しい“母語”でも、日本の方にとっては敷居が高く難しい“外国語”……。ちょっと考えてみればわかりそうなことなのに、身近すぎることこそわかりにくいものなのです。

     試しに、私から一つクイズを出してみましょう。私もあなたも大好きなパンダ。どんな見た目か、ご存じですよね? そう、白と黒のあの模様です。では、ここで質問です。パンダのしっぽは白色でしょうか? それとも黒色でしょうか? いかがでしょう。身近にいて大好きな存在でも、意外にわからないことがあると思いませんか?

    客観視することで見える あなた自身も知らないあなた

     私は日本に来たことによって、自分の母国である中国や、中国語の事を客観的に見ることができました。そのことは、私が日本で生活し仕事をしていく中で本当に役に立ちました。身近な例でいえば、中国語を教えるクラスを持った時、日本人の生徒さんが“発音”の習得に一番苦労していると気づいてからは、私自身がかつて天津でアナウンサーとして受けていた訓練方法を授業で取り入れることを思いつきました。具体的には、生徒さんに中国語の文を音読させ、ICレコーダーに録音してもらいます。終わったら、自分の中国語を聞いてもらいます。発音は、自分で聞いたときに一番誤りに気づきやすいのです。誤りに気が付いたら、それを修正していく。この繰り返しで正しい発音を習得していきます。そして、こうした作業もまた、物事を客観的に見るということなのだと思います。

     パンダのシャンシャンちゃんも、日本では“アイドル”や“典型的な中国のイメージ”の担い手となっていますが、もし中国に生まれていれば、どこかの町の動物園でひっそりと地元の人たちにだけに愛されている、小さな存在だったかもしれません。私も“あなた”も、思い切って一歩を踏み出し、客観的に自分や周りの状況を見てみれば、きっと今まで見えなかった、すてきで違った表情を持つ自分と、出会えるかもしれません。

    【お知らせ】

     来る5月2日(水)から5日(土)までの4日間、四川省成都にある中国パンダ保護研究センターで、本連載の執筆者である段文凝さんといっしょにパンダと触れ合うツアーを開催します! これまで動物園で眺めるだけだったパンダと、直接触れ合えるチャンスです!また、段さんと旅することで、これまで知らなかった中国の魅力も見えてくることでしょう。限定15人先着でお申し込みをお待ちしております!詳しくはこちら(https://www.maitabi.jp/parts/detail.php?course_no=15347

    段文凝

    (だん・ぶんぎょう)中国・天津市出身。2009年5月来日。同年まで天津テレビ局に所属。2011年4月より、NHK教育テレビ『テレビで中国語』にレギュラー出演。(2017年3月卒業)2014年早稲田大学大学院政治学研究科ジャーナリズムコース卒業。日中間を行き来し講演活動を行い、「かわいすぎる中国語講師」として幅広い層に人気を得ている。2015年、2016年に毎日新聞夕刊「ひ・と・も・よ・う」で取り上げられた。2017年現在、NHKWORLDのラジオにレギュラー出演。舞台や映画などを中心に女優としても活躍している。

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