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余録

古代オリンピックの衰亡期には…

 古代オリンピックの衰亡期には文人や宗教家による運動競技そのものへの批判が聞かれた。ある学者は詩人の詩句を引き、人間がいくらがんばっても獣にも及ばないと難じた▲--長距離競走なら馬が優れている。短距離ならウサギが勝つだろう。レスリングとパンクラチオン(総合格闘技)の2種目優勝者すら象やライオンにかなわない。人間とは何と弱いものか(メゾー著「古代オリンピックの歴史」)▲人々の関心も競技から離れ、長く続いた祭典にやがて終止符が打たれる。歴史はその後長きにわたって停滞の時代を迎えた。当時の人が見失ったのは他の動物にない力--「弱い人間」が自らの限界を超えようとする心の躍動だった▲「スピリット・イン・モーション」は常に躍動する選手の強(きょう)靱(じん)な意志を表すパラリンピックのモットーという。その卓越した動きが世界の人々の心にインスピレーション(創造的霊感)を与え、勇気をみなぎらせることを示すものだ▲第12回冬季大会となる平昌パラリンピックがきょう開幕する。組織的ドーピングで出場停止となったロシアの中立パラリンピック選手を含め、史上最多の49カ国・地域から約570人が参加、雪氷上に80種目の競技がくり広げられる▲歴史の示すところ、自らの限界を見すえ、突破する人の心の弾みこそ文明の活力の証しだ。五輪で勢いづく日本代表はじめ、世界の障害者アスリートが雪と氷の上から与えてくれるインスピレーションに、大きく心を開きたい10日間である。

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