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社説

大震災7年 原発固執の日本 世界の潮流を直視しよう

 日本はエネルギー政策を根本から見直すしかない。7年前、原発事故の恐ろしさ、影響の大きさを実感し、私たちは心底そう思ったはずだ。

     なのに、政策も社会も変えることができないまま時が流れた。むしろ惰性のように原発維持が進められたのがこの7年ではないだろうか。

     再稼働に向けた手続きは進み、事故後に「例外」と決めた老朽原発延命も「原則」になろうとしている。破綻がいっそうあらわになった核燃料サイクルさえやめられない。

     政策決定の仕方が変わらず、国民の「脱原発依存」の願いに応える仕組みはできない。現行のエネルギー基本計画は「原発依存度を低減」と言いつつ「重要なベースロード電源」と位置づけ、進行中の計画見直しの議論では、建て替えや新増設が必要という声さえ出てきている。

     そうした事故当事国の停滞をよそに、世界のエネルギー事情は大きく変わった。

    再生エネを変革の柱に

     昨年、太陽光発電の設備容量は累計約400ギガワット、風力発電は累計約540ギガワットに達し、それぞれ2010年の10倍、2・5倍に伸びた。再生可能エネルギーの設備容量は原発はもちろん石炭火力もしのぐ。

     コストの低下も大きい。国際エネルギー機関(IEA)によると、10年に比べ太陽光発電は70%、風力発電は25%安くなった。IEAは「電力供給の主役は石炭から再生エネに変わる」と世界のエネルギー転換を予測する。

     再生エネの成長と対照的なのが原発事情だ。世界の総発電量に占める原発の割合は1990年代をピークに低下し今は1割程度にとどまる。

     中国やインドなどでは確かに新規原発の建設が進むが、これをもって世界の原子力産業が成長を続けると思うと情勢を見誤る。主要先進国では原発の老朽化が進む。福島の原発事故後の安全対策の強化により、建設費が膨れ上がり、原発大国のフランスや米国でも新増設は難しい。日本ではなおさらだ。

     世界の原子力市場は衰退しつつあると見るのが妥当だろう。市場をかろうじて支えている中国も、原発以上に再生エネ拡大のけん引車として注目されている。原発維持に固執する日本は、すでに世界の潮流から取り残されつつある。

     ただ、日本政府内にも変化の兆しはある。

     まず注目したいのが外務省の動きだ。河野太郎外相は国際再生可能エネルギー機関の総会に出席し、伸び悩む日本の再生エネについて率直な反省点を述べた。外相から諮問を受けた有識者会合は2月の報告で「電力安定供給のためにベースロード電源として原子力や石炭が必要という考え方は、すでに過去のもの」と明言し、再生エネとエネルギー効率化を主役に位置付けた。

    送電網の柔軟な利用を

     ベースロード電源としての原発にこだわる首相官邸や経済産業省からは異論が予想されるが、現実には経産省でも再生エネ拡大は避けて通れない課題となった。その表れが昨年末に再生エネ大量導入と送電網改革をテーマに設置した有識者会合だ。

     現在、再生エネの発電事業者が既存の送電線につなごうとしても、「空きがない」と言われるケースが相次ぐ。事故への備えや、停止・計画中の発電所分も考慮し、使っていない送電線を最大限空けておく既存のルールが背景にある。

     国際的にはより柔軟な利用で再生エネ導入を拡大している。周回遅れとはいえ、日本で検討が始まったことは歓迎したい。実際の電気の流れに合わせて送電網をうまく使うための改革を早急に進めてほしい。

     もちろん、そこにはさまざまな課題がある。たとえば、変動電源である再生エネを大量導入するには、気象予測も取り入れ電力の需給調整を綿密に行う必要がある。調整力として揚水発電や火力発電の確保も求められる。大手電力会社のもつ情報の公開も欠かせない。

     送電線の増強が必要となった場合に、巨額の費用負担が再生エネ事業者に求められる場合があり、新規参入を妨げる恐れが大きい。再検討が必要だ。需要を超えて発電された電力をためておく蓄電池の開発も課題となる。再生エネの発電コストを国際水準並みに下げる工夫と努力も欠かせない。

     世界の潮流を見極めつつ、限られた資源をどの電源に投資すべきか。現実をみれば明らかだと思う。

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