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炎のなかへ

/103 アンディ・タケシの東京大空襲 石田衣良 望月ミネタロウ・画

三月九日(7)

 テツが拳でどんと自分の胸を叩(たた)いていった。

「なんだと、ふざけんな。おまえら、みんなおれたちが負けるって予想なのか」

 横を通る隣の組の生徒が声をかけてきた。

「おい、今日の菓子は特別で、どら焼きらしいぞ。おまえたち、さっさと負けてくれないか」

 テツが舌打ちをしていった。

「うるせえな、はいそうですかと、あんなやつらに勝ちを譲れるか」

 タケシは別なことを考えていた。どら焼きは金平糖や煎餅のように日もちしないから、きっと工場も生徒に配…

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