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社説

ロシア元スパイの暗殺未遂 国際的孤立深めるだけだ

 化学兵器で「裏切り者」の暗殺を謀ったのか。そうだとすれば国際法違反のテロ事件である。

     英国南部のショッピングセンターで、英国とロシアの二重スパイだった元ロシア情報機関幹部とその娘が意識不明の重体で発見された。英当局は、旧ソ連(現ロシア)で開発された軍事用の猛毒神経剤「ノビチョク」を検出した。

     メイ英首相は「ロシアが関与した可能性がきわめて高い」とロシア政府に説明を求めた。だがロシアが関与を否定し、要請を拒否したため、英政府はロシア外交官23人の追放など厳しい対抗措置を発表した。

     事件は国際問題になっている。英政府は国連安全保障理事会に訴え、米国、フランス、ドイツは英国の立場を支持する共同声明を出した。北大西洋条約機構(NATO)や欧州連合(EU)も英国との連帯を表明し、ロシアは孤立している。

     大統領選を控えるロシアは、再選が確実視されるプーチン大統領のイメージダウンを狙った「反露キャンペーン」だと反発している。英国への報復措置として、同人数の英外交官のロシアからの退去を通告した。

     だがロシアが疑われるのは理由がある。「ノビチョク」は1970~80年代に旧ソ連が対NATO用に開発した化学兵器だ。他国が保有しているとは考えにくく、ロシアから英国に持ち込まれたとみるのが自然だ。保有を禁止した化学兵器禁止条約に今はロシアも加盟している。ロシアは調査に協力し、国際社会の疑問に答えるべきだろう。

     英国では2006年にも、プーチン政権を批判していたロシアの元情報機関将校が放射性物質のポロニウムで暗殺された。英当局はロシア人容疑者の引き渡しを求めたが、ロシアは関与を否定し、引き渡しを拒んだ。容疑者のルゴボイ氏はその後、ロシアで下院議員になっている。

     13年にはプーチン政権と対立して英国に亡命していたロシアの大物実業家が自宅で死亡し、殺害の可能性も指摘されてきた。ロシアをめぐる不可解な事件は後を絶たない。

     ロシア社会の深い闇と強権政治が多くの疑惑解明を阻んできた。その閉鎖的な体質が変わらなければ、国際社会のロシアへの不信感は解消されず、孤立を深めるだけだろう。

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