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社説

「3%賃上げ」目標の春闘 中小こそ大幅ベア実施を

 2018年春闘は主要企業で前年を上回るベースアップ(ベア)が相次いだ。しかし、安倍晋三首相が求めた3%賃上げに届かない企業は多い。かつてない好業績の企業が相次ぐ中で、賃上げの勢いは思ったほどないと言わざるを得ない。

     個人消費が停滞し、将来不安から貯蓄ばかりが増えていく現状を変えるためには、従業員数で雇用者全体の7割以上を占める中小企業の大幅な賃上げが必要だ。

     今回、経団連は安倍政権の意向を受け入れて、春闘で初めて「3%の賃上げ」という数値目標を掲げた。異例の方針が、主要企業の賃上げにつながったのだろう。

     ただ、ボーナスや退職金などの算定に連動し、将来にわたってコスト増になるベアは抑え、定期昇給や各種手当でつじつまを合わせているのが実情だ。電機業界は賃上げ率の高さが際立っているが、ここ数年低く抑えてきた分、今回が高い回答になったにすぎない。

     18年3月期に上場企業は2期連続で最高益となる見通しだ。内部留保も過去最高の水準になっている。それを考えれば、もっと大胆に賃上げをしてもいいのではないか。

     経営側は国際経済の先行きが不透明な上、人工知能(AI)などの普及に合わせて設備投資を増やしたいため、賃上げに消極的とされる。

     労組の要求も全般的に抑制的であったことは否めない。トヨタはベアと賃上げの要求を合わせても2・9%にとどまった。

     ベアより安定雇用を優先する傾向も今回の春闘では見られた。60歳以上の社員の処遇改善や定年延長を要求する組合も多い。

     一方、連合は昨年から大企業の要求は抑えながら、グループ企業の中小も含めた全体の賃上げをめざす方針を掲げている。実際、昨年は中小のベアが大手を上回った。大企業と中小の格差解消に向けた努力は評価すべきだろう。

     政府の働き方改革で、残業時間制限が実施されると、大企業の経営者は不足する労働力を補う方策に迫られ、下請け企業に負担が押しつけられるのではとの懸念がある。

     これから本格化する中小企業の労使交渉では労働条件も含めた処遇改善を一層進めなければならない。

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