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余録

藤井聡太六段の快進撃で…

 藤井聡太(ふじい・そうた)六段の快進撃で人気が高まる将棋界。藤井さんとの対局で注目された加藤一二三(かとう・ひふみ)九段はユニークな人柄も相まって、引退後もテレビ番組やコマーシャルに引っ張りだこだ。「ひふみん」の愛称も定着した▲同時に知られるようになったのが「ひふみんアイ」である。盤面をひっくり返し、相手の側から見る。局面の雰囲気や形勢が違って感じられるという。不利な状況を打開するヒントが見つかるかもしれない▲次の一手を思案している政府首脳は、将棋盤を逆さから真剣に見ているのだろうか。森友学園への国有地売却をめぐる決裁文書の改ざん問題を収束させたい。盤を挟んで向かい合うのは世論や野党だ▲野党は辞任した佐川宣寿(さがわ・のぶひさ)前国税庁長官だけでなく、安倍晋三首相の妻昭恵(あきえ)氏の国会招致を求め、攻勢の手を緩めない。一方の自民党は拒否し、麻生太郎副総理兼財務相の続投の構えも崩さない。対応を誤れば、政権の投了にもつながりかねない政局である▲ここは目先の駆け引きではなく、政治の大局観が問われる。永世7冠を達成した羽生善治(はぶ・よしはる)さんは著書「闘う頭脳」で大局観に触れている。「あらかじめ大きな方向性を定め、迷いを少なくすると最善の判断に近づくことができる」と。小手先の一手でその場をしのいだとしても、かえって局面は悪くなる▲疑惑が残ったままでは政権への支持、人気は保てまい。それどころか政治不信が募るばかりだろう。長い目で民主主義の将来を考える大局観が今の政治家にあるだろうか。

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