メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

社説

パナソニック創業100年 日本経済占うものづくり

 パナソニックが今月で創業100年を迎えた。日本の家電メーカーは世界市場を席巻したかつての勢いに欠けるが、新たな未来像を提示できるかが今後の課題だ。

     創業者の松下幸之助氏が大阪市で設立した製作所はソケットなどヒット商品を生み出し、戦前に株式会社化して松下電器産業に改称した。戦後も家電トップを走り、テレビや洗濯機を普及させた。

     家電メーカーが世界に飛躍した背景には激しい競争がある。ソニーはテープレコーダーやビデオなどパイオニア的な新商品を開発し、シャープは国産テレビ第1号を開発した。

     パナソニックは他社が先行発売して人気になった後に自社製品を投入し、シェアを奪った。系列販売網と量産化の技術を生かしたものだ。

     その土台には幸之助氏の経営理念がある。事業部制導入などで「経営の神様」と言われた幸之助氏は水道水のように製品を安く大量に供給しようという「水道哲学」を説いた。

     従業員の安定雇用を特徴とする日本型経営も主導した。パナソニックの歩みは戦後の家電業界のみならず、日本の製造業の歩みの象徴だ。

     40年前に中国副首相だったトウ小平氏が松下の工場を視察する。翌年幸之助氏が中国を訪ね、技術支援を約束し、近代化を後押しした。

     ところが、1990年代以降、円高や人件費の安いアジア企業の台頭で家電業界は劣勢に立たされる。

     最近も東芝が白物家電とテレビ事業子会社を中国企業に売却し、シャープは台湾の鴻海精密工業に買収された。パナソニックは巨額投資したプラズマテレビが液晶テレビとの競争に敗れ、巨額の赤字に沈んだ。

     パナソニックの津賀一宏社長は「脱家電」を掲げる。収益性の高い自動車や住宅事業など企業向けビジネスの強化にかじを切り、業績は急回復した。だが、事業の方向性は見定められず、そのことはものづくりの苦境を示している。

     あらゆるものをインターネットでつなぐIoTや人工知能(AI)の活用で、働き方から消費の仕方まで経済社会は大きく変化しつつある。大量生産・大量販売の20世紀に急成長を遂げた日本勢が再び世界で優位な地位を占めることができるのか。日本経済の未来にも重なりそうだ。

    毎日新聞のアカウント

    話題の記事

    アクセスランキング

    毎時01分更新

    1. 訃報 天野健太郎さん 47歳=台湾文学翻訳家
    2. 中央防災会議 南海トラフ前兆 M8級「半割れ」で要避難
    3. 韓国 BTS事務所 被爆者とナチス被害者に謝罪表明
    4. 米国 ガガさん「大統領、少しは加州の人に思いを」と批判
    5. アムネスティ スーチー氏に授与した人権賞撤回

    編集部のオススメ記事

    のマークについて

    毎日新聞社は、東京2020大会のオフィシャルパートナーです