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段ちゃんの「知っておきたい!中国のコト」

第15回 まねっこ好き? 中国人のファッション=段文凝

個性的で自由な日本のファッション 一方サラリーマンの服装は……

 私が日本に来て間もないころ、真っ先に行ってみた場所があります。それは渋谷の“109”や、原宿の“竹下通り”など、中国でも有名な日本のおしゃれの中心地でした。私がとてもすてきだなと感じたのは、東京では電車の駅が一駅違うとファッションも全然違うということです。先ほど言った渋谷、原宿でも違いますし、新宿まで行くとさらに個性的な雰囲気があります。六本木や自由が丘もまたそれぞれに違う感じがします。ファッション雑誌にもそのロゴの色から青文字系、赤文字系と呼ばれる分類があって、青文字系は個性的でカジュアルな原宿系のファッション、赤文字系は女子大生や若いOLさんを対象にしたコンサバ系ファッションだと、友人に教わりました。日本のファッションは幅広く、包容力があって、どんな人もそれぞれの個性に合ったスタイルを選べる自由さがあるので、私も楽しみながら普段の服装に、そうしたスタイルをちょっとずつ取り入れたりしています。

     一方で、いまだに不思議に思うことがあります。それは、朝の通勤ラッシュで見る日本のサラリーマンの方の服装です。皆さん同じ黒や紺色のスーツとカバンで、まるで制服を着ているみたいです。東京に限らず、地方に行ってもサラリーマンの方の服装だけは同じです。普段着やおしゃれ着はあんなに個性的で自由なのに、スーツや仕事着になると似たようなスタイルになっているような気がして、とても不思議です。中国では、サラリーマンでもあまりネクタイをせず、カジュアルなジャケットや、柄物のシャツで仕事に行く人も多いので、そんなところにも日本と中国の違いを感じます。

    中国人は一目でわかる? そのわけは…

     ちょうど中国のサラリーマンの服装の話をしましたが、ふとこんなことを思い出しました。私の日本人の友人に、街で旅行中の観光客の方を見かけると、なんとなく服装で中国人だなあと分かるという人がいます。その理由は、私個人の意見としてですが、最近中国のデザイナーが中国人の好みに合わせて展開する、中国国産ブランドの数が増えてきたからかもしれません。それらのブランドの特徴は“色が鮮やか”“個性的で存在感がある”“デザインにメリハリがあって、そのまま着てもカッコいい/美しい”といったものです。かわいくてシンプルで、他の服と合わせやすい日本の服とはかなり方向性が違う上、これらのブランドは日本ではほとんど知られていないため、見かけたときに目を引くのかもしれません。

    ファッションをめぐる私の“弱点”

     ファッションをめぐって私が思い出す一つの言葉があります。それは“追星(ジュイシン)”という言葉です。中国語の“追星”とは文字通り星を追う、つまりスターや有名人のまねをする、ということです。いまやパソコンやスマホで検索すれば、誰でも自分が好きなスターや有名人の情報を写真入りで手に入れることができます。彼、彼女たちが身に着けている服のブランドや小物などは、調べれば簡単にわかります。その結果、そのブランドの服や小物がたちまちネットで、高値で取引されたり、買い占められたりしてちょっとしたお祭りのようになります。

     この気持ち、私も少しわかる気がします。天津でアナウンサーの仕事を始めた時に、授業としてメークやファッションを学ぶ機会がありました。当時の私にはファッションやメークとは、仕事をする上で必要上身に着けなければならない技術、という感覚がありました。そこであこがれの先輩アナウンサーに一歩でも近づきたいと、彼女たちのメークや服装を参考にしてまねしていたのですが、自分にはあまり似合わず、がっかりしたことがよくありました。これと同じように、いくらそのスターや有名人にあこがれたからといって、同じブランドの服や小物を自分が身に着けても、その人にはその人の個性や好みがあるはずです。自分らしさを大事にしたファッションをしたほうが、よりその人が魅力的に見えたり、楽しめたりするはずなのに、もったいないなあと思うのです。

     私には、もうひとつ“弱点”があります。“限定品”という言葉にとっても弱いのです。私は普段、服や化粧品などを買う時、ブランドよりも実用性や、自分にとっての使いやすさを大事にする傾向があるのですが、“限定品”と言われてしまうと、途端にワクワクしてしまうのです……。つい先日も、この誘い文句に乗って新色の口紅を買いました。それは私の好みの色だったので、今も愛用していますが、今後も“限定品”の誘惑から逃れられなさそうな自分のことを考えると少しだけ不安です(笑い)。

    ファッションが苦手でも“ワンポイント”で毎日を楽しくしよう

     ここまで私が個人的に感じた日本と中国のファッションの違いや、私自身の考えをご紹介してきました。実をいうと、ファッションそのものを純粋に楽しむ、という感覚になったのは日本に来てからでした。アナウンサーという仕事を通じてファッションを知った私には、仕事上の衣装としてではなく、普段着として私自身に本当に似合う服ってどういうもの?という疑問や、私のメークの技術は全然向上しないなあ……という苦手意識がいまだにあります。そうした私なりの紆余(うよ)曲折を経る中で、一つ気が付いたことがありました。

     それは、ファッションやおしゃれというのはトータルで完成するというより、ワンポイントで自分が納得できて、本当に好きなものを取り入れればいい、ということです。ワンポイントとは、具体的には口紅、香水、靴、カバンなどです。自分が本心から好きで、かわいい、かっこいいと思えるもの。自分にしかわからなくていいけれど、自分自身の心に正直になって素直にいいと思えるもの。そういうものを一つだけでも身に着けたり、取り入れたりしてみるのです。すると、不思議に気持ちが楽しく、明るくなります。私はこれこそがファッションの力ではないかと思っています。自分の好きなものや、良いと思うものは、その日の気分によっても変わっていきます。私も仕事でいろいろな衣装を着させていただくことがありますが、服によって自分の雰囲気ががらりと変わるのを実感します。自分で自分のイメージを決めつけすぎず、自分に似合うスタイルを探していくのもドキドキします。

     いろいろなファッションやおしゃれを、ワンポイントでも日常の生活に取り入れてみる。そうすることで、あなたも私ももっと自信を持ち自由になれる。ファッションの力を借りて、ちょっとずつ毎日を楽しくしていけたら、とてもすてきなことだと思いませんか?

    だんだん暖かくなってきたので春らしいコーディネートをしてみました!ポイントは花柄のスプリングコートです。あなたもお気に入りのお洋服を着てでかけてみませんか?

    段文凝

    (だん・ぶんぎょう)中国・天津市出身。2009年5月来日。同年まで天津テレビ局に所属。2011年4月より、NHK教育テレビ『テレビで中国語』にレギュラー出演。(2017年3月卒業)2014年早稲田大学大学院政治学研究科ジャーナリズムコース卒業。日中間を行き来し講演活動を行い、「かわいすぎる中国語講師」として幅広い層に人気を得ている。2015年、2016年に毎日新聞夕刊「ひ・と・も・よ・う」で取り上げられた。2017年現在、NHKWORLDのラジオにレギュラー出演。舞台や映画などを中心に女優としても活躍している。

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