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社説

「習1強」の新体制 平和的発展を守れるのか

 中国の全国人民代表大会(全人代=国会)で再任された習近平(しゅうきんぺい)国家主席の2期目の陣容が決まった。盟友の王岐山(おうきざん)国家副主席の起用など外交重視の姿勢が目立つのが特徴だ。

     習氏は憲法改正で3期以上の長期政権を可能にし、内政を固めた。政権運営の一番の懸念材料は対外関係にあるのだろう。習体制が国際社会と協調するなら日本にも望ましい。憲法には「平和的発展の道を堅持する」との一文も加えられた。言葉通りか。慎重に見極めたい。

     王副主席は経済通で米国との交渉経験や人脈も豊富だ。一方で中国共産党の役職を退き、自由な立場にある。保護主義的政策を強めるトランプ米政権との間で貿易摩擦の激化を防ぐことが王氏起用の狙いだろう。

     日本通の王毅(おうき)外相は副首相級の国務委員に昇格した。外相を兼務するが、発言力は高まる。米国通で外交官出身者として15年ぶりに政治局入りした楊潔〓(ようけつち)前国務委員は党の外交責任者として指揮を執る。全体として指導部内での外交担当者の重みが増した。

     機構改革では習氏が打ち出した広域経済圏構想「一帯一路」の推進を狙い、対外支援担当の部署を新設した。経済大国となった中国が国際社会への関心を高め、積極的に海外進出を進めること自体は理解できる。

     しかし、「一帯一路」をめぐってはインド洋のスリランカやモルディブで深刻な国内対立に結びついている。大国の行動は波紋を広げやすい。中国の進出に地政学的な影響を懸念するインドなどにも配慮することが中国の責任だ。

     南シナ海や東シナ海での中国の拡張主義的な行動は日本やベトナム、フィリピンなど周辺国との摩擦につながってきた。これも見直す時だ。

     南北、米朝首脳会談が合意され、東アジア最大の不安定要因だった北朝鮮問題もようやく動き始めたように見える。最終解決には中国の積極的な関与が必要だ。

     「トランプの米国」に加え、「プーチンのロシア」「習近平の中国」がどこも自国優先で動いたのでは地域の安定は到底、望めない。

     強権体制への懸念は残るが、将来の東アジアの秩序作りを考えれば、日中の対話は欠かせない。まずは習体制の出方を見守りたい。

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