メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

【お知らせ】現在システム障害のため一部の機能・サービスがご利用になれません
読み解きワード

年金カット策、来月一部施行 現役世代の負担抑制

 「年金カット法案」を覚えているでしょうか。2016年12月に成立した年金制度改革関連法に対し、野党が批判的に使った呼び方です。そこに盛り込まれている二つの「年金カット策」の一つが4月に施行されます。【鈴木直】

    額はどう決まるの? 物価や賃金に連動

     年金額は毎年4月に改定される。金額を決める方法には、前年の平均物価に合わせ金額が変動する「物価スライド」と、過去3年間の現役世代の平均賃金に連動した「賃金スライド」がある。どちらを適用するかは物価・賃金の上昇幅や下落幅による。この二つが基本的なルールだ。

     加えて特例的なルールとして「マクロ経済スライド」がある。変動の基準は少子高齢化の進展だ。

     少子化で保険料を納める加入者は減り、高齢化で年金受給者は増える。支える側と支えられる側のバランスが悪くなるので、物価・賃金スライドで決まった年金の伸びを少しずつ抑えて現役世代の負担を軽くする仕組みだ。年金加入者数の減少率と平均余命の伸びで減額率を決める。

     無理なく加入者が受給者を支えられる状態になればマクロスライドは終了する。厚生労働省の見通しでは2043年度に終わる。年金の伸びの抑制が思ったほど進まなければ終了は先に延びる。その間、年金の給付水準は下がり続け、将来世代への影響が大きくなる。

     マクロスライドは物価・賃金が下がった時には適用しないため、04年の導入決定後、実施したのは15年度の1度だけ。給付抑制の効果は上がらず、終了時期は、厚労省が04年当時に想定した23年度から20年も遅くなってしまった。

    高齢者が困るのでは? 減額率、繰り越しも

     マクロ経済スライドの効果を上げるため、4月からは物価・賃金が下がっても適用するようになる。ただし、年金額が前年度より少なくなると高齢者の生活に影響が出るので、物価・賃金が下がったらすぐには減額せず、翌年度以降に繰り越す。物価・賃金上昇時にまとめて差し引く。

     18年度については、物価はプラスだったが賃金はマイナスだったので、物価・賃金スライドのルールで年金額は据え置きになる。マクロスライドの新ルールでも、これ以上、年金額を減らせない。18年度のマクロスライドの減額率0・3%は繰り越される。

     例えば、19年度についても物価・賃金が上がらず、20、21年度については1%ずつ伸び、この間の減額率がすべて0・3%だとする。

     19年度の減額率も繰り越し。20年度には物価・賃金が1%上がるが、繰り越された18、19年度分と合わせ3年分の減額率計0・9%をまとめて差し引き、年金額は0・1%増にとどまる。21年度は1年分の減額だけで0・7%増になる。このルールでは、賃金・物価がそれほど上がらなければ減額率の積み残しが増えるばかりで、狙い通りの効果が出ない可能性もある。

    もう一つの策は? 賃金スライドを強化

     21年度には、もう一つの年金カット策である賃金スライドの強化が始まる。

     18年度のように、賃金が下がっても物価が上がった場合、今は年金額は据え置いているが、新ルールでは賃金の下落に合わせて減額する。

     また、物価より賃金の下落幅が大きいケースでは、今は下落幅の小さい物価に合わせている。これを改め、下落幅の大きい賃金に連動させる。

     賃金への連動を強めるのも現役世代と年金受給者のバランスへの配慮だ。賃金が下がれば現役世代の「支える力」は弱くなる。給付水準も同じ程度下げないと現役世代の負担が重くなり、マクロ経済スライドの終了が遅くなる。

     18年度の年金額は、国民年金では保険料を40年間納め続けて満額を受け取れる人で月6万4941円。厚生年金は、会社員だった夫と専業主婦のモデル世帯で月22万1277円。年金カット策の痛みは小さくない。だが、カット策は将来世代の給付水準が低くなりすぎるのを防ぐのが狙いだ。

     長期的な給付水準の低下を踏まえ、政府は、消費税率10%への増税時に低年金者向けに最大月5000円の給付金制度を始める。

    毎日新聞のアカウント

    話題の記事

    アクセスランキング

    毎時01分更新

    1. 日産会長逮捕 ゴーン神話「数字の見栄え良くしただけ」
    2. 日産 ゴーン会長を解任へ 「会社資金を私的に流用」
    3. 日産会長逮捕 再建神話、地に落ち 社員に衝撃と動揺
    4. 暴行容疑 元レスラー長与千種さんの髪つかむ 男を逮捕
    5. 高校野球 練習試合で頭に死球、熊本西高の生徒が死亡

    編集部のオススメ記事

    のマークについて

    毎日新聞社は、東京2020大会のオフィシャルパートナーです