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余録

自動販売機は時代を映す…

 自動販売機は時代を映す。近代的で実用的な自販機が登場したのは、産業革命を経た19世紀後半の英国だった。ハガキや便箋などを扱い、郵便制度の定着が背景にあった▲日本では高度成長期(1955~73年)、人々の生活が大きく変わるのに伴い普及した。国鉄の券売機とともに、飲料の自販機がブームをけん引した。東京五輪(64年)をはさんだコカ・コーラの流行も一役買った▲先月、91歳で亡くなったポッカコーポレーションの創業者、谷田利景(たにだ・としかげ)さんは自販機を通じ日本の缶コーヒー文化を広めたことで知られる。72~73年、新しい缶コーヒーとともに世界で初めて冷温兼用の自販機を開発し、冬はホットで売り出した。当時としては画期的な発明だった▲きっかけは冬の高速道路のサービスエリアでコーヒーを飲むのに30分かかったこと。「車の中で温かいコーヒーが飲めたら、時間が節約できるのに」と考え思いついた。味や温度設定、製缶技術などに試行錯誤を重ねながら完成させた▲谷田さんの著「成功は缶コーヒーの中に」(プレジデント社)によると、商品開発には常に「素人発想」があった。「ユニークな商品を開発するのが大好き」「チャレンジこそわが人生」とも記している。茶わん蒸しやとん汁を缶にして売ったこともあったという▲日本の飲料自販機は約247万台(2016年)あり世界でも指折りの多さだ。近年はコンビニエンスストアの普及で頭打ち状態のようだが、新商品には発案者の思いが見て取れる。

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