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社説

「引っ越し難民」現象 春の集中を見直す契機に

 新年度を控え、希望の日に転居できない「引っ越し難民」問題が深刻化している。

     人手不足の業界が、集中する需要を賄い切れなくなっているからだ。とはいえ、人手不足の解消は容易ではない。問題解決には、利用する側の発想の転換が必要ではないか。

     就職や転勤、入学と新たな生活が始まる春は、人が動く季節である。3月下旬~4月上旬に年間引っ越し件数の3分の1が集中する。

     一方、引っ越し業界では運転手不足が深刻化している。元々、長時間労働で低賃金というイメージから敬遠されがちな職場だった。

     それに拍車をかけているのが、運転手の宅配業界への転職だ。大手宅配会社では昨年、違法な長時間労働が社会問題になったことで労働条件の改善が進んだ。その結果、より待遇のいい方へとシフトしたわけだ。

     ネット通販の配達は増える一方で、宅配業界の運転手需要は今後も高まるとみられている。居ながらにして買い物ができるのを当然と思う消費者の感覚が、「引っ越し難民」を生み出す背景にある。

     両業界が運転手の取り合いをしていては、問題は解決しない。引っ越し業界も労働条件を底上げして職場の魅力を高める必要がある。

     ただし、運転手の待遇改善は料金の引き上げにつながるため、消費者の理解が欠かせない。サービスを享受したいのであれば、宅配の場合と同様に、それに見合った料金を受け入れざるを得まい。

     もっとも、繁忙期の需要に合わせて人手を確保できたとしても、ピークを過ぎれば余剰になる。抜本解決にはやはり、過度な需要の集中を改めるしかなさそうだ。

     家庭にとっては親の転勤と子供の転校は同時期の方が都合がいい。企業の人事労務管理にとっても、通年ではなく年度初めに一斉に採用したり、異動させたりする方が効率的かもしれない。

     しかし、そうした都合が積み重なって、社会全体の重荷になっているのも現実だ。

     国中が特定の時期に一斉に動くことから生まれるデメリットに、社会全体で目を向ける必要がある。「引っ越し難民」問題を、集中是正を考えるきっかけにしたい。

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