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ブラジル

女性市議射殺、追悼の動き各国に 治安回復願い

 【サンパウロ山本太一】ブラジル・リオデジャネイロで今月中旬、地元の貧困地区「ファベーラ」出身の女性市議マリエリ・フランコ氏(38)ら2人が射殺された。左派人権活動家でもあるフランコ氏に反感を抱いていた犯罪組織の関与が疑われ、事件を防げなかった政府への抗議デモが地元では多発。追悼の動きは欧米各国にも波及し、ファベーラの治安回復を願う動きが国境を越えて広がっている。

     ブラジル有力紙「フォーリャ」によると、フランコ氏はファベーラで生まれ育った経験を生かし貧困や人種差別、女性問題に取り組み、2016年の市議選で初当選した。事件は今月14日夜、リオ中心部で発生。フランコ氏と女性秘書を乗せた男性運転手(39)の車と並走した車から銃撃され、フランコ氏と運転手が死亡、秘書がけがをした。容疑者はそのまま逃走した。

     「市議の死がデモを結集させ、政府に圧力をかける」。フォーリャは16日付朝刊1面トップで事件を報道。計4ページを割いて取り上げており、殺人事件が頻発するブラジルでは異例の扱いの大きさとなった。

     15日にはリオで1万人以上が参加する追悼集会が開かれ、サンパウロなど各地で起きた抗議デモでは市民が「殺人はもうたくさん」と訴えた。

     怒りの矛先が政府に向かうのはリオの治安問題が背景にある。16年夏の五輪開催後、リオ州政府の財政難に伴い警察予算が削減され、景気低迷も加わり治安が悪化した。ファベーラを拠点とする麻薬密売組織による抗争が激化し、軍や警察も絡んだ銃撃戦が頻発。17年のリオ州の殺人事件数は6731件で前年を7.5%上回り、市民の犠牲は後を絶たない。今年2月、リオ州の治安対策権限を連邦政府に移譲。1988年施行の憲法下で初の事態で、警察を軍の指揮下に置き治安回復を目指す。

     ただ、連邦政府による「介入」は、当局が過度にファベーラ住民の出入りを制限したり、個人情報を集めたりしているとして批判が根強い。フランコ氏も過剰に権限を行使していると当局を非難。このため、事件に当局が関与したとの見方まで取りざたされる。

     事件を巡り、テメル大統領は「民主主義と法の支配に対する攻撃」とし、連邦政府の全面支援を約束した。国際人権団体「アムネスティ・インターナショナル」は徹底捜査を求める声明を出した。フランコ氏を悼み、ファベーラの犯罪抑止を望む動きは各国に広がり、ロンドンやニューヨークでも追悼集会が開かれた。

     【ことば】ファベーラ

     ブラジル南東部の都市郊外に多くあるスラム地区を指す。経済的な事情から中心部に住めない人々が、郊外の土地を不法に占拠し集住している。学校や病院が不足しているうえ、上下水道などの公共設備も整備されていないことが多い。貧困から麻薬取引などの犯罪に手を染める住民も多く、武装したギャングが抗争を繰り広げるなど治安悪化が問題となっている。

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