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社説

保護主義強める米国 混乱広げる独善的強硬策

 「米国第一」を振りかざした独善的対応は世界を混乱させるだけだ。

     トランプ米政権が中国や日本を対象に鉄鋼などの輸入制限を発動した。知的財産権を侵害されたとして中国に制裁関税を課すことも決めた。強硬な保護主義策を連発し、貿易戦争を引き起こしかねない。

     まず問題なのは、いずれも世界貿易機関(WTO)のルールに違反する疑いがあることだ。

     米国の標的は中国である。国有企業が不当に安い鉄鋼を輸出し、米国メーカーに打撃を与えたと批判する。また、中国に進出した米国企業の先端技術を中国企業に渡すよう強要してきたとも主張する。

     だからといって米国が一方的に制裁を科していいわけではない。

     米国は制裁関税の根拠とした米通商法301条を、以前の日米貿易摩擦では頻繁に使ったが、一方的制裁を禁じるWTO発足後は控えてきた。各国が勝手に制裁に走れば国際秩序が成り立たなくなるからだ。

     中国は報復関税の準備に着手した。大国の摩擦が激しくなれば世界経済への悪影響は必至だ。各国が対抗措置で応じると自由貿易の根幹を揺るがす。日米の株価が急落したのは、世界の成長を支えた自由貿易体制に不安が広がったためである。

     さらに問題をこじらせているのは米国が同盟国も巻き込んだことだ。

     鉄鋼輸入制限は中国が標的なのに日本も対象にした。除外するかは通商面などの貢献で判断する考えで、日本に市場開放を迫りたいのだろう。欧州は暫定的に除外したが、完全に外すかは交渉次第とみられる。

     トランプ政権は米国の貿易赤字削減を最優先課題に掲げる。鉄鋼問題に乗じ相手に譲歩を迫る狙いだ。

     だが、中国の鉄鋼や知的財産権の問題を巡っては、日欧も批判してきた。本来は日米欧が協調し、WTOなど多国間の枠組みに沿って、中国に是正を促すのが筋である。

     それなのに米国は日欧にも圧力をかけている。これでは亀裂が広がり、問題の解決を妨げてしまう。

     日本政府は輸入制限からの除外を求める方針だが、除外されれば済む話ではない。保護主義が強まると、自由貿易に立脚して発展してきた日本にも影響は甚大である。米国に撤回を働きかけるべきだ。

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