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社説

自民党大会と安倍首相 政権党の自省が足りない

 あまりに危機感が乏しくないか。

     公文書改ざんという行政の深刻な不祥事に対し、政権与党の責任が問われる中での自民党大会だった。

     安倍晋三首相(党総裁)は演説の冒頭、「行政全般の最終的な責任は内閣総理大臣であるこの私にある」と国民に向けて陳謝した。

     気になるのは「なぜ、このようなことが起こったのか」とひとごとのように語った部分だ。首相はこれまでも国会などで全容解明と再発防止を約束する際、枕ことばのようにこのフレーズを繰り返してきた。

     自身が改ざんに関与していないことを強調したいのかもしれない。だが、改ざんを実行したとされる財務省理財局の担当者らが、首相の国会答弁や、妻昭恵氏と森友学園の関係を意識していなかったというのは無理がある。首相にとって、この問題はひとごとではすまされない。

     「行政の長として責任を果たす」と言いながら財務省の内部調査に任せるばかりで、首相が本気で取り組んでいるように見えないから、国民はいら立ちを募らせているのだ。

     そんな首相の対応には自民党内に不満もくすぶるが、党大会で表立った批判は聞かれなかった。前日の全国幹事長会議で森友問題の地元・大阪府連が「党の論理ではなく国民の立場で」と注文をつけた程度だ。

     時間がたてば世論の逆風は落ち着くとの楽観論も聞こえてくる。

     総裁演説の最後は「いよいよ、結党以来の課題である憲法改正に取り組むときが来た」と語り、憲法に自衛隊の保持を明記する9条改正への強い決意で締めくくった。

     党大会を機に国会の改憲論議に弾みをつけたいと思ったのだろう。だが、その前提条件となる与野党の信頼関係はもはや失われている。公文書改ざんに反発した野党が改憲論議に入れる状況にはない。客観的な政治情勢と、改憲を急ぐ首相の認識とのギャップは開くばかりだ。

     党大会にぎりぎり間に合わせた改憲条文案自体が生煮えで、公明党も距離を置く。山口那津男代表は来賓あいさつで、国民の信頼回復を優先させるようにと、くぎを刺した。

     民主政治は為政者と国民の信頼がなければ成り立たない。政権党である自民党は最も重い責任を負っていることを自覚しなければならない。

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