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皇室

琉球古典音楽の人間国宝、陛下の思い 歌い継ぐ

天皇、皇后両陛下の訪問を「歓迎したい」と話す照喜名朝一さん=那覇市で2018年3月6日、山田奈緒撮影

両陛下 27~29日、沖縄県を訪問

 天皇陛下は27~29日、皇后さまと共に沖縄県を訪問される。戦没者の慰霊を重ね、沖縄の歴史や文化に関心を寄せてきた陛下にとって11回目の沖縄訪問となる。来年の退位を前に、在位中は最後となる見込み。琉球古典音楽の人間国宝、照喜名朝一(てるきな・ちょういち)さん(85)は「温かい心を沖縄に向け続けていただいた。感謝の気持ちでお迎えしたい」と思いを語る。【山田奈緒】

 「私が沖縄の歴史と文化に関心を寄せているのも、(本土への)復帰に当たって沖縄の歴史と文化を理解し、県民と共有することが県民を迎える私どもの務めだと思ったから」。陛下は記者会見でこう語ったことがある。そして「沖縄の音楽を聞くことが非常に楽しくなりました」と続けた。

 沖縄在住の照喜名さんは、本土復帰10周年の1982年、皇太子だった陛下に東宮御所に招かれ伝統芸能を披露した。沖縄の人間国宝が集い、照喜名さんも出演した2014年の東京・国立能楽堂での公演も陛下は鑑賞した。「楽しんで見ていただいたことが、励みになった」と振り返る。

 陛下は沖縄伝統の短歌「琉歌」を詠む。「ふさかいゆる木草 めぐる戦跡 くり返し返し 思ひかけて」。沖縄を初めて訪問した75年、戦跡を巡った気持ちを詠んだ。木や草が生い茂っている様子を表す「ふさかいゆる」など琉歌独特の古い言葉を使っている。

 この琉歌は戦没者を悼む「慰霊の日」である6月23日の前夜、沖縄平和祈念堂(糸満市)で開かれる前夜祭で歌い継がれている。

 前夜祭は全国から遺族が集う。琉歌は「瓦屋節(からやぶし)」とよばれる調べに乗せて歌われる。琉球古典音楽のさまざまな流派が合同で奏でる調べ。照喜名さんは79年の第1回から「伝統芸能を戦没者の魂や遺族に届けたい」と関わってきた。陛下の琉歌を「亡くなった沖縄の仲間を思って詠まれた温かい歌。大事にしていきたい宝物」と話す。

 照喜名さんは、戦争で祖母と長兄を亡くした。祖母の家が戦火で焼け落ちる光景が目に焼き付いている。「戦争を経験して天皇制に複雑な思いを抱く人もいるのだろう。でも時代は変わった。平和の象徴として在り続けられた陛下の思いを歌い継ぎたい」。退位が近づく中での沖縄訪問に特別な気持ちを抱く。「感謝、親しみ、尊敬、さびしさ、いろんな思いがこみ上げる。今回の沖縄訪問を楽しんでいただきたい」

小桜の塔で供花される天皇、皇后両陛下=那覇市で2014年6月

慰霊の旅を重ね 戦争の歴史に向き合い続けて

 天皇、皇后両陛下は沖縄県訪問の際、戦没者を追悼する施設や慰霊碑に欠かさず足を運ばれた。「ひめゆりの塔」や「沖縄師範健児の塔」、伊江島の「芳魂之塔」などを訪れ、遺族との交流を重ねた。象徴のあるべき姿を模索する陛下は、戦争の歴史に向き合い続けてきた。

 太平洋戦争末期の沖縄戦で、県民の4分の1が犠牲になった。1972年の沖縄の本土復帰直後から、昭和天皇は沖縄訪問を希望していたとされる。だが天皇の戦争責任を問う声など、さまざまな意見を背景に実現しなかった。75年、皇太子時代の陛下が初めて訪問した際は、ひめゆりの塔の前で活動家から火炎瓶を投げつけられる事件が起きた。

天皇陛下の沖縄訪問

 その夜、陛下は「犠牲者や遺族の方々のことを思うとき、悲しみと痛恨の思いにひたされる」「払われた多くの尊い犠牲は、一時の行為や言葉によってあがなえるものではない」との談話を発表した。

 即位後も積極的に慰霊の旅を続けた。戦後50年にあたる95年は犠牲者の名前を刻んだ「平和の礎(いしじ)」を訪れた。2014年は米軍に撃沈された学童疎開船の悲劇を伝える「対馬丸記念館」で遺族と懇談し、犠牲者を悼む「小桜の塔」に花を供えた。

 戦争の記憶を継承する大切さを自らの行動で示す姿は、人々の胸に刻まれた。対馬丸記念館で陛下を案内した高良政勝さん(77)は「戦争の重い歴史を背負って、いばらの道を歩いてこられたように見える。沖縄だけではなく、国内外の各地で慰霊を続ける歩みに親しみを感じるようになった」と話す。【山田奈緒】

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