「もっといい小説を書けると思っているんです。人生100年時代ですから、まだまだ高みを目指します。皆さん、私を見ていてください」。頬を紅潮させて決意表明する姿に万雷の拍手が送られた。デビュー小説「おらおらでひとりいぐも」で2月、第158回芥川賞を受賞した若竹千佐子さんの贈呈式でのあいさつだ。63歳。文壇の登竜門である同賞史上2番目の高齢受賞として話題になったが、その作品から感じるのはむしろ圧倒的な若さであり、自らの体験をフィクションに昇華させる営みの豊かさである。
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