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もったいないばあさん、またね 作者・真珠まりこさん

「もったいないばあさん日記」作者の真珠まりこさん=中村藍撮影

 本紙「本はともだち」面で連載してきた「もったいないばあさん日記」が28日、最終回を迎えた。13年間の連載を終えた作者の真珠まりこさんに思いを聞いた。

     ●世界が広がった

     --「もったいないばあさん日記」の連載がスタートしたのは2005年10月です。最終回を迎えた今の心境は。

     ◆もったいないばあさんの連載を続けることで、日本のいいところや、何がもったいないのかを考え続けることができました。「こんな時、もったいないばあさんならどう思うだろう」って。もったいないという言葉は、相手を敬う心、思いやる気持ち、ありがとうの気持ちなんです。もったいないという言葉の意味の深さを知るにつれて、それを軸に考える癖ができたことで世界が広がりました。新聞や辞書を参考にしたり、出会った人から「もったいない」と思ったことを聞いて取材したり。気になることはかたっぱしから調べました。紙面を通じて読者の方に伝えられたことが幸せでした。

     --もったいないばあさんのキャラクターが生まれたきっかけは。

     ◆子どもが4歳の時に「もったいないってどういう意味?」と聞いてきました。説明しようと思ったけど、一言で置き換えられる言葉が見つかりません。子どもにイメージを伝えられる絵本を自分で作ってみようと思い、生まれたのが「もったいないばあさん」です。観音様の顔をモデルにしました。

     もったいないばあさんの「もったいない」は、節約など「けちんぼ」のことではありません。愛情のこもった、命の大切さを伝える言葉でもあるんです。例えば、食べ物と自分たちとのつながりが分かれば、自然の恵み、いただく命、作ってくれた人への感謝の気持ちが芽生えます。私たちは命をいただいて生きているから、食べ物を大事にしないと、「もったいない」。

     子どもの一言がきっかけで作った絵本が、私のライフワークになるなんて夢にも思っていませんでした。もったいないばあさんと共に生きて、暮らしているような感じ。私にとっての理想のおばあちゃんです。

     ●和の心で平和を

     --連載は150回です。シイタケの軸を捨てずに活用するなど暮らしに関する知恵や季節の話題など、もったいないばあさんは多くのことを教えてくれました。印象に残っている回はありますか。

    「もったいないばあさん」のイラスト=真珠まりこさん提供

     ◆99回目の「和の食」ですね。和食は、食材の和を作る料理。一つ一つの食材を大切にして、違いを楽しみ、共にいることを喜び合えるように全体を調和させていく。そんな和の心は「もったいない」の根底に流れている心でもあります。和という言葉には「違うものが出合って、違いがあっても一緒であることを楽しむ」という意味があります。この和の心は、「もったいない」の心そのものだなって。自分さえよければとか、自分たちだけが正しいという理由で戦争や紛争が起きているけど、和の心があれば、世界は平和になると思うんです。

     その人が大事に思っていることを同じように大事に思って、相手をリスペクトすること。違いがあっても違いを一緒に楽しめば平和になるということ。もったいないは、「平和につながる言葉」でもあると思い至った時は胸が熱くなりました。

     --もったいないばあさんの絵本は、ヒンディー語に翻訳されてインドで発売されました。インドの子どもたちに伝えたいメッセージは。

     ◆絵本の出版に合わせて、今年1月にインドを旅しました。インドはごみ問題が深刻です。ガンジス川を「神様の川」として大事にする一方で、平気でごみを捨てている。多くの人が、ここにどんな生き物が生きているかなんて、考えてもいない。どんな生き物がすんでいて、ごみを捨てたら今後どうなるかを知ると、自然と自分とのつながりが分かり、感謝の気持ちや大事にしたいという気持ちが芽生えてくると思うんですよ。

     絵本を読んだ子どもが、ごみを捨てる大人に「そんなことをしたら、もったいないばあさんが来るよ」と言ってくれるようになったら、すごいですね。インドの自然に感謝して大事にすることを考えるために、もったいないばあさんが役に立つとうれしいです。「もったいない」を広げるために、今後はインドに限らず、世界中で読んでもらえる本を作りたいと思っています。【聞き手・坂根真理】

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