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熊本県

荒瀬ダム撤去完了 国内初、清流生かし自然再生へ

荒瀬ダムがあった地点の球磨川。右岸の取水口や門柱は遺構として残される=熊本県八代市で2018年3月27日、笠井光俊撮影

 国内初の本格的なダムの撤去となった熊本県八代市坂本町の県営荒瀬ダムの工事が終わり27日、現地で撤去完了式典が開かれた。初の撤去事例としてその過程が克明に記録された他、瀬や砂州などかつての清流が復活し、生態系への好影響が期待されている。

     荒瀬ダムは球磨川中流に1955年に建設された発電専用ダム(高さ約25メートル、幅約211メートル)。ダム湖にたまった汚泥による環境悪化などから、地元の要望を受けた潮谷義子前知事が2002年に7年後の撤去開始を決めた。

     その後、08年4月に就任した蒲島郁夫知事が「撤去費用が存続費用を上回る」と存続に方針転換。しかし、水質悪化で損害を受けたとする漁協が存続に反対したため蒲島知事は再び撤去を決め、12年に撤去工事を開始した。総事業費は約84億円で、うち16億円は国から補助を受けた。

     式典で蒲島知事は「国内初の撤去として貴重な財産であり、後世に確実に伝えていく」と述べた。

     この日は、ダム湖のあった区間をボートで下るラフティングのイベントもあり、代表の溝口隼平さん(36)は「撤去の終わりが川再生の始まり。再生した川がちゃんと生活の場になることを見てほしい」と話した。

     ただ、約10キロ上流に別のダム、河口付近には堰(せき)があり、それらで止められた土砂などの問題が残る。荒瀬ダム撤去を求める住民団体で会長を務めた本田進さん(84)は「昔のように子どもが飛び込んで遊べる川に戻れるか、まだまだいろいろと取り組まねばならない」と気を引き締めた。【笠井光俊】

    ことば「荒瀬ダム」

     戦後の電力不足に対応するため、熊本県が球磨川の河口から約20キロの中流域に建設したコンクリート製ダム。総貯水量1014万立方メートルで、ダム湖の長さは10キロ近い。約600メートル離れた藤本発電所に送水して発電し、年間供給電力量は約7468万キロワット時。県内での電気供給割合は建設当初約16%だったが、撤去決定前は1%弱まで下がっていた。

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