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社説

陸自に初の統一司令部 国民の信頼に足る運用を

 陸上自衛隊が新たに「陸上総隊」を発足させた。全国に五つある方面隊の指揮命令系統を一本化した統一司令部だ。大規模災害や有事への機動力を高める狙いがある。

     海上自衛隊には自衛艦隊、航空自衛隊には航空総隊という全国の部隊を束ねる組織がある。海自は1954年の創設時、空自は創設4年後の58年に設置された。

     なぜ陸自には置かれなかったのか。東西冷戦期にソ連の侵攻に備え、方面隊ごとに完結した指揮権を確保しておくためだったとされる。

     しかし、戦前や戦中に旧陸軍が「統帥権の独立」を盾に暴走し敗戦に至った反省から、権限集中への抵抗があったことは否定できない。

     このため、冷戦終結後の2000年代以降、政府内で何度か創設が検討されたが、見送られてきた。

     それでも、陸上総隊発足に際し大きな異論がなかったのは、陸自への国民の理解が深まった結果だろう。

     敵の大規模侵攻の脅威が減る半面、大規模災害での陸自の活動は極めて重要になっている。

     災害時の広範な部隊派遣は、防衛相を補佐する統合幕僚監部が各方面隊と調整する必要があり、運用が効率的ではないとの指摘があった。

     災害では初動がカギとなる。指揮命令系統が簡素化され、広域にわたる救援活動が迅速に展開されるメリットは国民にとっても大きい。

     被災者にとって救助に励んだ陸自はかけがえのない存在だ。それは自衛隊の好感度が約9割という内閣府の世論調査にも表れている。

     もちろん、14万人という巨大な実力組織が陸自である。陸上総隊の発足によって全国的な即応力は強化されるが、その運用にあたっては国民の信頼が不可欠だ。

     自衛隊を使う立場にある政治の責任も重い。

     小野寺五典防衛相は記者会見で「戦前の反省を踏まえ、しっかりとシビリアンコントロール(文民統制)を利かせたい」と語った。

     しかし、昨年、当時の防衛相が選挙応援演説で「自衛隊としてお願いしたい」と発言して問題化したことは記憶に新しい。

     実力組織を統制する側が自衛隊を政治利用するようなことは二度とあってはならない。

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