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社説

退位と即位に伴う儀式 伝統にも時代にも配慮を

 憲政史上初の退位及び即位の儀式について憲法と整合性を持たせたうえで時代に合ったものにできるか。

     政府は天皇陛下の退位に伴う一連の儀式の基本方針をまとめた。退位の儀式のほか、新天皇の即位礼などを国事行為として行う。

     明治期以前、天皇の退位があった当時は天皇が譲位の意思を示す「宣命(せんみょう)」が不可欠だった。だがこれを踏襲すれば、陛下が自らの意思で退位したように受け取られる懸念があるため、首相が退位に触れた後、陛下がお言葉を述べられる形にした。象徴天皇制に配慮した点は妥当だ。

     皇位の証しの剣と璽(じ)(勾玉(まがたま))を引き継ぐ「剣璽等承継(けんじとうしょうけい)の儀」についても天皇の意思による継承と受け取られないよう、5月1日午前0時の新天皇の即位から数時間を空ける。

     保守派から退位と即位の一連の儀式として位置づけるよう求める声があるが、憲法の趣旨から、時間を空けるのは当然だ。

     一方、政府は前例を踏襲し、剣璽等承継の儀への女性皇族の参列を認めないことを決めた。皇位が移ることを象徴する場面に、継承権のない女性皇族が出るべきではないとの理由とみられる。同時に安倍政権としては、女性の参列容認が女性・女系天皇論を勢いづかせることを避けたのだろう。

     新天皇が初めて神々に新穀を供えて五穀豊穣(ほうじょう)を祈る「大嘗祭(だいじょうさい)」については、平成のはじまりの際と同様に公費を支出する方針だ。

     大嘗祭への公費支出や知事らの出席をめぐっては裁判が相次ぎ、最高裁が合憲とした。しかし大阪高裁は1995年に「違憲の疑義は一概には否定できない」とし、判断の基準にはあいまいさも残った。政府には国民への丁寧な説明が求められる。

     前回は外国の賓客や国会議員らを招き、国事行為として祝宴「饗宴(きょうえん)の儀」が7回に分けて行われた。多額の国費をかけた豪勢な祝宴は今の時代に似つかわしくない。新天皇、新皇后の重い負担になったことも考えれば、できるだけ簡素にする必要がある。

     天皇制は時代状況に柔軟に対応して今日まで続いてきた。儀式への国民の理解を得るために、伝統を重んじながらも時代に合ったものにするのが望ましい。

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