メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

社説

中国が対米報復関税 大国の摩擦激化を危ぶむ

 米中両大国の貿易摩擦激化は世界経済を混乱させるだけだ。

     中国政府が米国から輸入する果物や豚肉などに高関税を課す措置を発動した。トランプ米政権が中国の鉄鋼製品などの輸入制限に踏み切ったことに対する報復である。

     報復の応酬は、だれの利益にもならない。

     経済的な相互依存関係が深まっている米中が、高関税をかけ合うと、貿易が停滞する。双方の輸入品価格が上昇し、企業や消費者の負担が増す。米中の景気が落ち込めば、世界経済への波及は必至だ。

     米中の摩擦はより深刻化する恐れがある。鉄鋼とは別に、米国が自国企業の先端技術など知的財産権を侵害されているとして、中国に制裁関税を課す方針を決めたからだ。

     制裁の規模は、今回の中国の報復関税より格段に大きくなる見通しだ。実際に発動するかは6月にも決めるとみられるが、中国は米国産の大豆や航空機など大がかりな報復に踏み切ることも示唆している。

     第二次世界大戦後の世界経済の発展を支えたのは自由貿易である。大国が本格的な貿易戦争に突入すると成長の土台が根底から揺らぐ。

     米中は国際的な安全保障に加え、世界経済の安定にも責任を負う立場にあるはずだ。

     問題の根源は、米国の貿易赤字削減を最優先課題に掲げ、赤字相手の中国などに対して一方的な制裁を決めたトランプ政権にある。

     鉄鋼の輸入制限も知的財産権を巡る制裁関税も世界貿易機関(WTO)ルールに違反する疑いがある。「米国第一」を振りかざす行動は報復を招き、問題をこじらせる。保護主義政策を撤回すべきである。

     中国に是正を促すには、WTOなど多国間の枠組みを活用する手法がある。米中には2国間で経済問題を協議する枠組みもある。こうした場を活用して解決を図るべきだ。

     中国も震源地であることを自覚してほしい。鉄鋼の過剰生産や知的財産権の侵害は日欧も批判してきた。対策に本腰を入れる必要がある。

     日本も米国の鉄鋼輸入制限の対象となっており、除外を求めている。しかし主要国として自由貿易体制の維持に責任がある。今月の日米首脳会談で撤回を働きかけるべきだ。

    毎日新聞のアカウント

    話題の記事

    アクセスランキング

    毎時01分更新

    1. 花嫁行列 思うのはあなた一人 愛知・半田
    2. 雑記帳 サッカー元イタリア代表FW、デルピエロ氏…
    3. 風知草 圧勝ですが、何か?=山田孝男
    4. 会津藩公行列 「ありがとなし…」綾瀬はるかさん手を振り
    5. 大村益次郎 没後150年 生誕地に砂で20メートル家紋

    編集部のオススメ記事

    のマークについて

    毎日新聞社は、東京2020大会のオフィシャルパートナーです