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社説

「イラク日報」今ごろ発見 説明のつじつまが合わぬ

 陸上自衛隊でまた、「ない」と言っていた日報が見つかった。今度はイラク派遣部隊のものである。

     南スーダン国連平和維持活動(PKO)の日報隠蔽(いんぺい)問題では昨年7月、当時の稲田朋美防衛相が引責辞任に追い込まれた。

     イラクの日報については昨年2月の国会で稲田氏が「残っていないことを確認した」と答弁していた。ところが今年1月になって、陸自研究本部(現・教育訓練研究本部)などで2004~06年の日報データが見つかったという。

     昨年2月といえば、南スーダンの日報の存在を防衛省が認め、その中に「戦闘」の記載があったことが明らかになった時期だ。イラクでも宿営地に砲弾が撃ち込まれるなど治安の悪化が問題になった経緯があり、野党が日報の開示を求めていた。

     陸自研究本部では昨年2~3月にも探したが確認されなかったと防衛省は説明している。南スーダンの日報のように組織的な隠蔽が確認されたわけではないが、結果的に1年以上も国会に不誠実な対応を続けた。探したら見つかったでは済まない。

     今年1月に見つかったのに、3月末まで小野寺五典防衛相に報告されなかったというのも解せない。陸自が統合幕僚監部に報告してからも1カ月以上かかっている。

     南スーダン問題でもデータ発見が防衛相に報告されるまで1カ月を要した。その後の情報開示などをめぐる混乱も重なり、危機管理に失敗した。その教訓が生かされていない。

     防衛省は今回、イラクの日報発見とともに、別の文書をめぐる問題も公表した。情報公開請求を受けて文書を開示した際に内容の一部が変更された可能性があるという。

     国会でこの問題が指摘されたのは3月30日で、イラクの日報発見が小野寺氏に報告されたのはその翌日だった。3月は財務省の決裁文書改ざんが発覚し、公文書のずさんな扱いに批判が集まっていた。

     そもそも日報は、海外に派遣された実力組織の貴重な活動記録である。教育訓練のために保管されていたのはむしろ当然だろう。

     それがなぜ「なかった」ことにされ、小野寺氏への報告が遅れたのか。防衛省の説明はつじつまが合わない。早急に経緯を調査すべきだ。

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