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社説

朴前大統領に懲役24年判決 過剰な「清算」を懸念する

 収賄罪などに問われた韓国の朴槿恵(パククネ)前大統領に対し、ソウル中央地裁は実刑判決を言い渡した。

     大統領として国政を混乱に陥れた責任が問われた。朴被告の権威主義的な政治スタイルはもはや時代に合わないと断罪したと言える。

     2016年秋の事件発覚後、韓国社会の混乱は半年以上にわたった。有罪判決は妥当だと考える。

     しかし、量刑は懲役24年となった。一連の事件関係者のうち最も重い量刑だ。厳刑と言えよう。

     今回、ソウル中央地裁は初めて、下級審でのテレビ中継を許可した。これは昨年7月、規定が改正されて可能になった。

     司法関係者の間ではテレビ中継は長年、議論されてきたという。ただ、朴被告の事件を念頭に置いた規定改正ととられても仕方ないだろう。

     朴被告は中継を望まないとの立場を明らかにしたが、地裁は公共の利益に合致するとして許可した。閉鎖的だった朴前政権に対する国民の反感に応えたように映る。

     そもそも韓国では、青瓦台(大統領府)が司法機関トップの人事権を握っている。司法が時の政権に影響を受ける傾向があることは、かねて指摘されてきた。

     その政権は、世論の動向に左右される。とりわけ現政権は朴被告の退陣を求める一般市民による「ろうそく集会」の後押しを受けて誕生した。 世論が政権に絶大な力を持つ韓国政治の中で、司法もまた世論に影響を受けやすい素地がある。

     文在寅(ムンジェイン)政権は「積弊清算(せきへいせいさん)」を掲げる。これは朴被告や、来週にも起訴される見込みの李明博(イミョンバク)元大統領ら保守政権時代の弊害を取り除くという狙いがある。

     文政権の支持率は現在も70%を超す。「積弊清算」は一定の支持を得ていると言えよう。

     ただ、世論に迎合するあまり、行き過ぎた「清算」が社会の対立をあおる懸念がある。

     青瓦台は判決を受け、「今日を忘れない」と慎重なコメントを発表するにとどめた。

     とはいえ、仮に一連の事件を政治利用するようなことがあるとすれば、韓国社会の分断は一層深まるだろう。文大統領には冷静な取り組みを求めたい。

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