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社説

働き方改革を閣議決定 残業時間の規制が原点だ

 今国会の目玉である働き方改革関連法案がようやく閣議決定された。

     当初の予定から1カ月以上も遅れたのは、厚生労働省の調査データに不自然な数値が多数見つかったことがきっかけだ。結局、裁量労働制の対象拡大は法案から削除された。

     改めて議論を整理したい。働き方改革は、電通の女性社員の過労自殺によって政府が取り組みを迫られたものだ。非正規社員の低賃金の改善も喫緊の課題である。

     若い世代が安心して働き、結婚や出産ができるようにしないと、社会全体が地盤沈下していく。だから残業時間規制などは重要なのだ。

     ところが、もともと政府が成立を目指していた高度プロフェッショナル制度(高プロ)や裁量労働制が関連法案に組み込まれ、議論がもつれるようになった。高プロは残業の規制がなく、経営者は残業代を払わなくて済む制度だ。

     経営者側にとって残業規制は労働力不足に拍車を掛け、非正規社員の賃上げは人件費増となって経営に打撃となる恐れがある。そこで、高プロや裁量労働制の拡大でマイナスを埋め合わせようというのだろう。

     労働時間よりも独創性によって労働の価値が決まる仕事の場合は、高プロや裁量労働制について議論する意義はある。

     しかし、現実には残業代を抑えるため、裁量労働を適用できない人に適用して長時間労働をさせることが横行している。

     野村不動産でも裁量労働制を違法に適用された社員が過労自殺した。政府は国会で同社を特別指導したことを強調しながら、肝心の過労自殺については認めていない。

     現実に起きている弊害を認めず、メリットばかり強調するから矛盾が露呈する。これでは政府案に不信が深まるばかりだ。

     野党側は関連法案にある高プロも同様の事態が起きることが懸念されるとして反対しており、国会審議の紛糾は避けられないだろう。

     まずは、弊害に対して徹底した是正策を講じるのが筋ではないか。

     もともと規制強化と緩和という矛盾するものを一つの法案にまとめるのは無理がある。残業時間の規制という原点に立ち返って、働き方改革を議論すべきだ。

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